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創価学会・公明党がついても、国民が本気で怒れば自民党は勝てない<倉山満>

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

言論ストロング

島嶼部を除く本州内の東京都における唯一の村「檜原村」の自然溢れる風景。このような人里離れた選挙区ですら、創価学会と公明党の助けがなければ自民党は勝てない(写真/時事通信社)

総理大臣が退陣する最も多い理由は、参議院選挙敗北である


 こいつは逆賊か? 後世の歴史家に罵倒されたくなければ、安倍晋三首相は今すぐ景気回復前の消費増税など撤回すべきだ。ましてや、増税を予定している来年10月は新帝即位の礼を控えている時期だ。

 8%増税の時も、よりによって伊勢神宮の式年遷宮の直前に発表した。その後、政府は景気対策と称して大規模な財政出動をしたが何の効果もなく、日銀の金融緩和の効果は吹っ飛んだ。かろうじて日銀の追加緩和で事なきを得たが、いまだに後遺症に苦しんでいる。

 しかし、安倍首相は各所で、「絶対に増税をやり抜く!」とまで言い切っている。「景気悪化への対策もする」とも明言している。では、何のための増税か? 税収を上げることが前提だろう。景気が悪くなれば、税収が減る。増税で景気が悪くなるから景気対策でバラマキをして集めた税金を散財するなら、最初から増税などしなければいい。

 刻一刻と、来年10月1日の10%消費増税から始まる破滅が忍び寄っている。

 しかし、来年は選挙の年だ。7月は参議院選挙、4月は統一地方選挙がある。特に重要なのが参議院選挙で、平成に入り10度の選挙で与党が7回も敗北している。そのうち、小泉純一郎内閣を除く6度が内閣総辞職につながっている。与党が勝ったのは、小泉旋風とアベノミクスで2連勝した、合計3回のみだ。

 ’55年以来、2度の例外を除いて、衆議院選挙で勝利した自民党総裁が総理大臣となっていた。言ってしまえば、衆議院選挙は自民党が勝つに決まっているのだ。一方、総理大臣が退陣する最も多い理由は、参議院選挙敗北なのだ。普通の総理大臣なら身構えるところだ。

 ところが安倍首相は憲法9条改正に着手するとも宣言している。今年秋の臨時国会か来年1月の通常国会かは知らないが、首相の思惑通りなら来年前半に憲法改正の国民投票だ。

 選挙の年に憲法9条改正と消費増税10%。麻生太郎と二階俊博の2人と組んでさえいれば敵はいないし、野党などものの数ではないないと考えているのだろう。自分ならば景気回復を破壊する消費増税と、単なる思い出作りの憲法改正を掲げる冗談のような政治をやっても許されると考えているのか。自民党反主流派にも野党にも、自分に代わる人材はいないと思いあがっているのか。

 確かに大多数の国民は、自民党反主流派の石破茂氏や野党第一党党首の枝野幸男氏との比較なら、安倍首相を支持するだろう。しかし、それは中途半端とはいえ、景気を回復させているからだ。景気回復を捨てた安倍内閣が支持される保証があると思ったら、大間違いだ。

 週刊SPA!の本連載で早くから指摘したように、自民党総裁選など安倍首相の勝利は固まっている。石破氏にトリプルスコアをつけられるかどうかだけが焦点だ。既に永田町の関心は、内閣改造人事に移っている。ここが安倍首相、最後のチャンスだ。国民に見捨てられないための。

 要諦は一つ。麻生財務大臣を放逐できるかどうかだ。常識で考えれば、政権を常に主流派で支えてきた第2派閥の領袖を放逐するなど、ありえまい。また、既に日本全国で実務が進み既成事実が作られている消費増税を延期するなど、麻生氏の背後にいる財務省の反発も大きかろう。命懸けの戦いだ。

 安倍首相の地位は、総選挙で国民の信任を得ているからこそであると思い出すべきだろう。それとも、国民が政治に関心がないと高をくくっているのか。

 ところで現在、沖縄県知事選挙の真っただ中である。事実上は、自民党が応援する佐喜眞淳候補と野党が推す玉城デニー候補の一騎打ちだ。現職翁長雄志知事の死亡に伴う選挙だけに、野党陣営は弔い合戦を掲げ、事前調査では大幅にリードしていると聞く。自民党は公明党と創価学会に早くから応援を要請し、必死の戦いだ。

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国民が本気で怒れば自民党は勝てない

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