節約で洗濯は月に1回…月給18万・建設作業員のギリギリ生活
現在、日本の景気は回復傾向にあるとも言われているが、そんな中でも貧しい生活を強いられている人たちがごまんといることをご存知だろうか。都内で一人暮らしをしながら建設作業員として働く中野拓真さん(25歳・仮名)の給料は月18万円。手取りにして14万円程度というが、そこから家賃や各種支払いを済ませると手元にはほとんど残らない。
では、給料や貯蓄を切り崩しながらギリギリで生活する彼らのライフスタイルとはどのようなものなのか。日々の生活の疲れからか、中野さんは「もうギリギリです」とつぶやく。
中野さんが現在の仕事を始めたのは3年ほど前。当時、実家暮らしでフリーターだった中野さんを心配した両親の口利きで就職が決まった。
「自分がフリーターだった頃はカラオケ店でアルバイトしていました。シフトにたくさん入れたこともあって、かなりお金には余裕がありました。あの頃は、少ない金額ですが貯蓄もしていましたね。今じゃ到底無理ですよ」
建設作業員として仕事を得てから、中野さんは実家を出て一人暮らしを始めた。だが、今となっては「ありえない選択でした」と下を向く。
「仕事を始めたら実家を出るように言われました。妹もいて自分も実家には居辛かったので快諾しましたが……。給料は18万前後あるんですけど、そのうち税金や保険等で引かれて手取りは14万ぐらいです。家賃が6万円と水道光熱費の支払いでこみこみ7万円ほどなくなります。携帯代が1か月1万ちょっとで、家のネット代が毎月5千円。単純な支払いだけで、9万円が消えてしまいます。残りの5万円で1か月生活するんですけど、そこから食費やらを考えると1か月で1万円ぐらいしか余裕がありません」
中野さんは肉体労働という仕事柄、食事や飲み物代を減らすことは難しいという。そんな中、病気になってもお金がなく病院にも通うことができない……。
そんな状況で、いかにして生活をするのか。中野さんは自身の節約術として洗濯する回数を極力減らしているという。
「洗濯の回数を限りなく少なくしています。うちには洗濯機がなくて併設のコインランドリーを使用するんですけど、洗濯1回に300円、乾燥込みで500円かかるんです。なので、ここをギリギリまで耐えます。例えば、バスタオルなどは大きいタオルを1枚買って、それを風呂あがりに毎回使ってますし、肌着などは裏返して連日着ますね。臭いはたまに気になりますが、ファブリーズを寝る前にかければ大丈夫です」
中野さんは洗濯の回数を減らして「まとめて月1回すればいいほうですね」と話すが、体調が悪くても病院に行かないような生活を今後も続けていくのだろうか。
「今は辛いですけど、もしも給料が上がればそのぶん楽になるはずですから。遊びたいときは、実家から持ってきた本やゲームを売ってお金を捻出しようと思ってます。最近はお金がなくて全然遊ぶこともできませんが……」
中野さんは、くたびれたTシャツのシワを伸ばしながら「なんとかなると信じて頑張ります」と気丈にふるまった。<取材・文/小畑マト>
月給18万円のギリギリ生活「毎月の支払いだけで精いっぱい」
「洗濯は月1回すればいいほう」
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