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ギャンブル依存症とパチンコ税、そして久里浜医療センターの嘘

POKKA吉田:そこに金がかかるんだと明確にしたうえで、「政府としてはいまのところ知見がないから勉強せなあかん。そういう研究予算が必要だ」って言うんだったら賛成だよ。ただ、その金を使って久里浜医療センターが研究するんやったらやめてくれって思う。 ──2014年8月に厚労省は「ギャンブル依存症の疑いがある人間が約536万人いる」と公表して、日本の末期的なギャンブル汚染のイメージを拡散させましたけど、あの数字は久里浜医療センターの調査によるものですよね。 POKKA吉田:でも、2017年9月の厚労省発表では、「ギャンブル依存症の疑いは約320万人」とガタ減り。その差の200万人は、死んだのかっちゅう話や! なのに厚労省の依存症対策っていうのは、酒も薬物もギャンブルも久里浜医療センターを軸にしか考えてないでしょ。 木曽崇:おっしゃるとおりです。久里浜医療センターは、依存症対策の拠点機関として日本全国で唯一指定されている病院ですから、あそこを中心として医療・福祉関係者の研修教育を行い、対策を進めてゆくことが、もう決まっているんです。 POKKA吉田:全国に何箇所も拠点になるような依存症対策の医療機関・治療機関は指定されてんだけど、それを統括する機関として国が指定しているのが久里浜医療センター。だけど久里浜が軸になって依存症についての知見を育てます言うても、知見を育てる気なんかないじゃん。次はゲームだ、インターネットだ、とかって新しい依存症の名前を付けるけど、要は厚労省から予算をどんだけ取るかっていう政治的なことばっかりやってんじゃん。久里浜の樋口進院長が関わっている報告書を読めばわかるけど、適当やで本当(笑)。久里浜の樋口院長なんて、国立病院の院長までやってんだから賢いに決まってるんです。でも、勉強できるやつが正解を語れるとは限らない。アホなはずがないのに、賢いから間違ったことをやってしまう。 ──データばかりを見て、現実のギャンブラーを見ていないということですか? 木曽崇:いや、彼は厚労省の旗の下で、大きな数字を出すことを政治的にやっている、一種の活動家なんです。だってパチンコファン人口が1000万人の時代に、ギャンブル依存症の疑いが500万人、しかもその殆どがパチンコ依存だとか、数字自体がおかしいでしょう。そんなにいるわけねぇ、ありえねえだろってみんな言ってたわけですよ。依存者500万人って、パチンコファンの2人に1人が依存者かよ、みたいな話になるでしょ。 POKKA吉田:だったら俺、もうちょっとええ生活してるっつうの(笑)。 木曽崇:なのに、依存症対策の市場を大きくするために、樋口院長は使命感を持って、よかれと思ってやっている。依存症対策はやらなきゃいけないし、それに対して正当な訴えをすることはいいけど、数字を弄んで嘘をついてまでやることじゃないですよ。 POKKA吉田:樋口院長は、アルコール依存症の専門家で、その道に関するレポートはすっごい分厚くて、読んでたらさすが専門家やな~みたいな印象やねんけど、それ以外の依存症についての報告書は、あれ誰でもできるよ。だって、ギャンブル依存症の場合は、SOGSのアンケートを引いて分析しているんだから、あんなん大学生でもできる。 ──SOGSってなんですか? POKKA吉田:SOGSというのは、ギャンブル依存症の研究では国際標準として使われている指標なんだけど、設問に対してどういう回答をしたかで、その人物がギャンブル依存症かどうかを判断するんです。ただ、元の設問が英語なので、適切に日本語に訳さないと、調査結果が大きく変わってしまう。 たとえば、「あなたは大事な人と、ギャンブルを巡って口論したことがあるか」って尋ねられたら、ほとんどのギャンブラーは口論したことがありますよ。でも、「大事な人とギャンブルを巡って取っ組み合いの喧嘩をしたことがあるか」って質問だったら、たぶんほとんどのギャンブラーは経験ないだろうし、俺もないのよ。「深刻な喧嘩をしたことがあるのか」って聞かれたら、思い出さないとわからないんやけど、たぶんない。アンケートって設問が適切かどうか、誘導尋問になっていないかどうかっていうのがすごく重要。 木曽崇:彼らの調査手法もおかしくて、自分の生涯のうちに、1回でもそういう状態にあった人も全部拾ってるわけです。じいさんが「若かりし18、19の頃、ワシはパチンコにハマッててな……」って語れば、そういう人も依存者としてカウントしてしまう。結局、公表数字が大きく変わったときに、なんでこんなに下がったんだと追及されたら、「今ギャンブルなんて一切やってない人まで『ギャンブル依存の可能性がある者』としてカウントしていました」と答えたんですよ。 じゃあ、実際この1年でギャンブル依存のリスクがある人はどのくらいいるのかと聞かれたら、約70万人ですって言い始めるんだから。ケタがちがうじゃねぇか、最初からそう言えよって大紛糾するわけです。 POKKA吉田:そんな久里浜医療センターの知見を磨くためにカネが要ると言われても、無駄づかいにしかなれへんのよ(笑)。それこそ、ロボトミー手術や丸山ワクチンみたいに、過去に医療の世界では無駄なところにお金がいっぱい流れてるわけでしょ。そこからいろんな被害者が出たわけじゃん。そういう研究のためにパチンコ業界に課税するっていうのなら、俺は反対する。それともうひとつ重要なところやけど、樋口院長はアルコールの専門家だから、依存症の問題は、対象物を排除するって考え方を採用しがちだと思われるの。 症状が深刻な人は、まず、アルコールを摂取できないようにする。これは医者として正しい。だけど仮にその同じアプローチを他のパチンコやギャンブルにも使ってくるとしたら、めちゃくちゃな人権侵害やで。それでもそいつが治れば救いがあるけど、それこそ精神異常じゃないヤツを病棟に隔離して、ほんまにおかしくさせるような話につながりかねないんだよね。危険なのよ。 【POKKA吉田氏】 ぱちんこジャーナリスト。パチンコ業界紙『シークエンス』の発行人・編集長。近著に『パチンコが本当になくなる日』などがある。メーカーが主催するセミナーで講師も務めている。 Twitter:@POKKAYOSHIDA 【木曽崇】 国際カジノ研究所所長。日本では数少ないカジノ産業の専門研究者。近著は『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』(’17年、光文社新書) Twitter:@takashikiso 構成/野中ツトム、松嶋千春(清談社) 勝SPA!
SPA!が運営する日刊SPA!内のギャンブル情報サイト「勝SPA!(かちすぱ)」の取材班。Twitter(@kspa_official
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