普通のパパが子供を虐待し始める時…「息子を叩いた時に、親父の顔が浮かんだ」
後を絶たない児童虐待。凄惨な虐待に走る親はどんな素顔なのか。実際に手を出した親、教育の現場、専門家に話を聞いた
今年1月24日、千葉県野田市在住の会社員栗原勇一郎容疑者(41歳)が長女の心愛(みあ)ちゃん(10歳)を13時間以上にわたり虐待した末、死亡させるという痛ましい事件が起きた。また、昨年、目黒区で起きた船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5歳)の虐待死も記憶に新しい。両事件の父親は、しつけを免罪符に配偶者を巻き込み、児童相談所をかわしながら執拗に虐待を続けていた。
これらのように最悪のケースに至らないまでも、親がしつけと称して我が子に手を上げるケースは少なくない。加害経験を持つという、ある父親に話を聞いた。
都内在住の岩本仁志さん(仮名・40歳)には、4歳年下の妻と保育園に通う5歳の息子がいる。岩本さんが虐待を始めたのは、息子が2歳半になる頃だったという。
「それまではもうひたすらカワイイ存在だったんですけど、2歳をすぎた頃から『コイツ、オレの言葉をわかってるのに、なんで言うことを聞かないんだ』と感じるようになったんです。おもちゃ箱をひっくり返したり、行っちゃダメって言ってるのに突っ走るくせに、名前を呼ぶとニコニコしながらこっちに来るんですから」
そんなイライラを募らせていたある日、岩本さんは息子が放置していたおもちゃをふと手に取り「お前いいかげんにしろよ」と、プラスチック製のステッキで息子の手の甲をパシッと叩いた。
「そのとき、フラッシュバックみたいに、おっかない親父の顔が浮かびました。子供の頃、悪さをしたら親父に細い竹の棒で叩かれていたんです。自分も叩かれておとなしくできてたんだから、これは息子のしつけにも使えるぞ、と」
最初はプラスチックの棒で叩いていたが、慣れて言うことを聞かなくなったため、輪ゴムではじいたり、頬をつねったり、引っぱたいてベランダに閉め出すなど、どんどんエスカレートしていったという。その間、岩本さんの妻は何も言わなかったのだろうか。
「やめてよ、とは言われましたが、『お前がちゃんとしつけていないからオレが汚れ役をやっているんだろ』という感覚だったので、毎日言い合っていました。僕がキレると手がつけられないことも嫁は知っていました。夫婦喧嘩の過程で嫁に手を上げかけたこともあったので、本気で怒ると怖がって、黙っていましたね」
自分の体罰体験をしつけとして受け継ぐ
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