更新日:2023年03月12日 08:33
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コンビニの24時間営業の快適さを見直す時期にきている/鴻上尚史

オーナーの判断で選べるシステムを

 他の例でのアドバイスは「外国人を雇っては」「人材派遣を利用したら」というものでしたが、田舎では外国人は集まらず、時給を上げてもなかなか、集まらないのはどこも同じです。  24時間の営業をちゃんと回すためには、20人以上のバイトが必要な場合が一般的です。  けれど、コンビニのバイトは、だんだん避けられているようです。  ネットでは、「正月に働くことを強制された」とか「試験で休むのは許されないと言われた」なんてケースがよく出てきます。  結果として、オーナーの夫が12時間、妻があと半分の12時間、働くなんていうケースもあるようです。どうしてもバイトの調整がつかず、45分間だけ店を閉めようとしたけれど、本部が認めなかった、という例も報道されていました。  コンビニは、電気や水道のようなライフラインだから24時間営業することは必要なんだ、という言い方もあります。  でもね、外国に行って、「うん。この町にはコンビニはないんだ。深夜お腹が空いても簡単には食事できないし、お酒も12時を過ぎたら手に入らないんだ」と事前に分かっていたら、それに備えます。  あらかじめ軽食を買っておくし、ビールを冷蔵庫に入れておきます。  僕はロンドンではそうやって生活しました。  昔々、日本にも雑貨屋さんしかなくて、コンビニがない時代には、そういう生き方をしました。  なにが言いたいのかというと、「なにがなんでも24時間」というルールは、見直した方がいいんじゃないのか、ということなのです。  24時間を死守しようとするから、バイト集めにも無理が出てくるし、バイト管理もブラックになるし、オーナー夫婦の身体も壊れるんじゃないかと思うのです。  コンビニの24時間営業の快適さは、本当に便利ですが、それを見直す時期にきているのではないかと思います。少なくとも、オーナーの判断で営業時間が選べるようになることが必要なんじゃないかと思っているのです。
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