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発達障害グレーゾーン、一見“普通”に見える人たちの苦悩

 SPA!でも’18年に2度にわたり、大特集を展開した発達障害。その取材をきっかけに生まれた『発達障害グレーゾーン』(姫野桂著)も発売即重版となるなど、大きな反響を呼んでいる。
姫野桂氏

姫野桂氏

筆者の姫野桂氏から見た、グレーゾーンな人たちの生きづらさとは…?(以下、姫野さんの寄稿)

一見普通に見える、発達障害グレーゾーンの生きづらさ

 私自身、“発達障害クロ”だが、苦手なことを回避するテクニックを身につけて生活してきた。一方、取材で出会ったグレーゾーンの多くは「自分のアイデンティティがわからない」「ミスを説明できない」といった言語化の難しい葛藤を抱えていた。グレーゾーンは「軽度の発達障害でしょ?」で片付けられる問題ではない。  男性の場合、社会的な圧力もあり、「男は仕事ができてナンボ」という価値観がいまだ根強く残っている職場もある。そして、仕事上のミスは自己肯定感の低下に繋がってしまう。グレーゾーンは、一見“普通の人”に見える。社会に過剰適応し、むしろコミュニケーションが得意と受け取られる人もおり、人間関係で大きなトラブルを起こすことも稀だ。けれども、「生きづらさ」を抱えているという点では“クロ”と変わらず、深く悩んでいる人も少なくない。  女性のグレーゾーンの場合、家族、特に母親との関係で軋轢を起こしており、恋愛への失敗に繋がるケースも多く見られた。このあたりは、発達障害だけが原因ではなく、グレーゾーンの特性に加えて、養育環境も複雑に絡み合っているように感じられた。  言葉が適切かどうかはわからないが、世は発達障害ブームだ。最近になって発達障害という存在を知り、「自分も発達障害かもしれない。グレーゾーンかもしれない」と感じている人も少なからずいるだろう。職場や家庭などで支障を来しているなら早く受診してほしい。診断を受けることでショックを受けながらも同時に安心したという当事者は、私も含めてたくさんいる。ただ、緊迫した状況でないのなら、そこまで深刻に考えなくてもいいと個人的に思う。障害の有無にかかわらず、誰にも得意不得意があるのだから。  かくいう私もまだ発達障害の2次障害である「双極性障害」の治療中の身なので、生きづらさから完全に解放されたわけではない。しかし、一当事者として、執筆や発信などを通じて、発達障害やそのグレーゾーンという存在の可視化にこれからも寄与していきたい。 【姫野 桂氏】 フリーライター。発達障害当事者を数多く取材。自身も発達障害当事者。著書に『私達は生きづらさを抱えている』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書) ― 発達障害グレーゾーン ―
発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害の認知が広まるなかで増える「グレーゾーン」に迫る

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