更新日:2019年10月30日 21:13
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新元号「令和」の発表会見へのモヤモヤ/鴻上尚史

「令和」の読み方はどうぞご自由に?

 それから、声優の諏訪部順一さんがツイッターで「ガイドラインも明確に出して欲しい」とつぶやいていましたが、「令和」のアクセントの問題があります。  菅官房長官は、ややフラット気味で、安倍首相は語頭にアクセントがありました。フラットなら「平和」、語頭なら「明治」のアクセントです。  J-CASTニュースによれば、内閣府の担当者は、「『元号法』および『元号の読み方に関する告示』にもとづいて定めているのは、あくまでも漢字とその読み仮名だけであり、アクセント(イントネーション)についての決まりはありません。ですので、自由に発音していただいて構いません」と答えたそうです。  自由というより、そういう質問を想定してなかったんじゃないかと僕はうがって考えます。  日本人は、とにかく文字を目で見ることを重視しますが、音に関してはいい加減です。なので、「日本」に「にっぽん」と「にほん」という二つの読み方が生まれるのです。  昔は、どっちを読んでもいいとおおらかでしたが、最近の不寛容の時代の流れで、「にっぽん」が正しいなんていうトンデモ説が力を持ってきました。 「昭和」も、本来は、語頭とフラットと二種類ありました。が、だんだんとフラットが正しく、語頭が間違いであるかのように思われています。  いきなり、とんでもない例ですが、最近のニュースで、遠足のおやつを禁止する小学校が増えていると報じられています。生徒同士のおやつ交換で、アレルギー問題が起こる可能性があるからだそうです。ドッジボールも禁止になる小学校が増えているそうです。一人をいじめることになるからです。 ドッジボール つまりはまあ、どんどんと厳密さを求める時代になっていると僕は思っているのです。そんな時代に「令和」の読み方は、どうぞご自由には無理じゃないかと思っています。どうなるんでしょうかねえ。
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