退職代行が水商売や風俗店でも大流行のワケ
彼氏には残業と嘘をつき、現在は週2回ほど出勤している状態だという。
「つい先日も辞めたいと言ったのですが、今度は店長がうちに押しかけてきて。『もしも今、辞めたら昼の職場にバラしてやる!』とも怒鳴られました。あまりに怖くて、その場では、なにも言えなくなってしまいました」
恋人への罪悪感と店への恐怖心に押しつぶされる日々。やがて精神的に不安定になった梨花さんは、「実はこの数週間はろくに眠れていないんです」と取材陣に明かした。
「当然ながら、これらは刑法上の『脅迫罪』『強要罪』に該当しうる違法行為。退職の意思を告げるだけではなく、悪質な場合、法的手段によって対応することも可能です。ただ、経営者側も本当に『職場にバラす』『家族にバラす』ような行為を行ってしまうとマズいこと自体は知っています。それでもそのように脅すのは『なんとか人気嬢をひきとめたい』だったり、『これまで献身的に接してきたのに裏切られた』だったりと、感情的な部分が大きい。
そのため、ゆっくり話を聞いてみると、案外引き下がる経営者も多いものです。先日対応した案件でも、経営者からじっくり話を聞いてみると、これまで経営者がその女性キャストにかなり振り回されていたことがわかってきました。女性には女性の言い分がありますが、経営者には経営者の言い分がある。そこをときほぐすことができれば、本当の意味での『円満退職』ができます。まあ、実際にはそこまで到達する例は少ないですが(笑)」
と嵩原弁護士。
特別な資格も、入店時には履歴書すら要らない水商売や風俗業。足を踏み入れるのはたやすくとも、辞める際には一筋縄でいかないケースも多い。ときに個人での交渉は困難を極めることもある。風俗や水商売においても、退職代行サービスは時に強力な助っ人になりうるのだ。
【フォーゲル綜合法律事務所】
嵩原安三郎氏
’70年沖縄県生まれ。京都大学卒業後、’99年に弁護士登録。情報商材や副業詐欺など悪徳商法案件を数多く手がけるスペシャリスト
取材・文/アケミン 構成/浜田盛太郎
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