ライフ

ドローン全盛時代になぜ自ら空を飛ぶのか? 「空撮写真家」の挑戦

「人生100年時代」と言われて久しい。年金の受給年齢は引き上げられ、「定年は70歳」というまことしやかな話もある。この長い仕事人生を歩むことになる時代では「学び直しが必要」というのが政府や多くの識者の見解だ。  しかし、「学び直しなんてまどろっこしい。もっと他にも方法がないのか」という声もあるはずだ。そのひとつとして、「誰も成し遂げていないことへの挑戦」が考えられないだろうか。そして、今、「誰も成し遂げていないことへの挑戦」を本気で目指そうと企む男がいる。カメラマンの山本直洋である。

山本直洋氏

 2008年、30歳でカメラマンとなった山本は独立後の10年間、“地球を感じる写真”を撮るため、モーターパラグライダーで飛行しながら撮影を行うというスタイルを確立し、写真展の開催、有名バラエティ番組の撮影協力、さまざまなフォトコンテストへの応募などを行ってきた。  それでも、山本は「数多くいるカメラマンの中の1人という存在から、なかなか抜きん出ることができなかった」と言う。

「妻から“もっとドローンの仕事をやったらいいじゃない”と言われた」

「自分ではモーターパラグライダーカメラマンとして、日本でトップクラスの経験を積んできたつもりですが、なかなか仕事につながってきませんでした。収入で考えると平均して4割程度にしかなっていません。そのほかの6割はブライダル撮影など“陸”での仕事からの収入に頼る形になっています」  そのうえドローンが出てきたこともあり、モーターパラグライダーでの撮影仕事は年々減ってきている。山本も「ドローン撮影にも利点はたくさんある」と話し、自身でもドローン撮影を行う。実際、6割の“陸”での仕事のうち、半分近くはドローン関係の仕事とのこと。  一方で、山本が「モーターパラグライダーで自ら飛ぶからこそ撮れる写真がある」と語る通り、自ら飛行して行う仕事の割合を高めていきたいという強い思いを持っているという。 「『お金になるんだから、もっとドローンの仕事をやったらいいじゃない』と妻から言われることもありますが、僕は自ら空を飛ぶモーターパラグライダーでしか撮れない写真があると思っています。技術的な話とかいろいろあるんですけども、簡単にいえば、自分自身で飛んで撮った写真のほうが、“より地球を感じられる作品”をつくれるんです」  ドローン撮影では、どうしてもモニター越しの写真となる。一方で、モーターパラグライダーでの撮影では、自分の体で光、風、雲、暑さや寒さを感じ、その中で一瞬を切り取る写真である。つまり、「撮影者の感動を写真に写り込ませるという点において、機械の場合と生身で飛ぶ場合とでは、大きな差があると思っています」と山本は明かす。  しかし、そうした思いとは裏腹に「空での仕事」は増えないまま、時ばかりが過ぎていった。
次のページ 
世界初を成功させれば…
1
2
3
Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事