更新日:2023年04月13日 01:46
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おっさんは面白くもないのに同じボケを何度もしつこくやる――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第54話>

風俗嬢のプロフィールに突っ込むことに情熱をかける馬場さん

 馬場さんはとにかく細かい。特に風俗店のサイトに記載されている風俗嬢のプロフィール、それもスリーサイズに関して並々ならぬ情熱を持っていた。  「おかしくねえか、これ、これはウエスト59じゃないだろ。それだったら同時に写ってるこの足のサイズが14センチくらいになるだろ、対比的に」  といちいち細かい。さらには風俗店のサイトに書かれがちなウエストの統計を取り、59が最も多いという事実を突き止めたほどだった。ついで「60」さらに「58」「62」と続くらしい(馬場調べ)。そのあたりの数値でウエストを詐称しがちということだろう。  「これみてくれよ、おかしいだろ」  そう言われてスマホを差し出されたので、またウエストに関する言及か、いい加減に細かすぎるだろと思って画面を見ると、どうやら違う様子だった。  「これ、坂口杏里ですか?」  そこにはしっかりと「坂口杏里」と記されていた。坂口杏里については、ここ日刊SPA!における「坂口杏里をデリヘルで呼んだ男、涙の全記録…会話から驚愕サービスまで」が記憶に新しい。  その坂口杏里さんだが、色々とすったもんだの末、現在もとあるデリヘルに勤務しているらしいのだ(2019年8月現在)。しっかりと在籍嬢としてデリヘルのサイトに名を連ねているのだ。  そのページはけっこう詳細に在籍嬢のプロフィールが載せられており、その中に「女の子に質問」というコーナーがある。そこが馬場さんの琴線に触れた。  「とにかく見てくれ」  馬場さんに促されて問題の個所を見る。  「Q.初体験はいつ、どこですか?」  「A.高校二年生の時」  こういった質問と返答が並ぶ。「どこで?」に答えてないじゃないかと思うけど、まあそれはいい。問題は次の個所だ。  「Q.経験人数は?」  「A.5人」  けっこうどうでもいい質問と回答が並ぶ。そしてついに質問は核心に迫る。  「Q.芸能人で誰に似てますか?」  「A.坂口杏里」  馬場さんはこれにご立腹だ。  「これよう、坂口杏里本人なわけだろ、本人であることと似てるってのは違うんじゃねえか? なにせ本人なわけだから」  「まあ、そうですけど」  心の底からけっこうどうでもいいな、と思いつつも無難な返事をした。ただ、その指摘が馬場さん的にスマッシュヒットだったようで、その後、競馬に行ったのだけど、1レース終わるごとに顔を近づけて指摘してくる。  「やっぱりよう、坂口杏里本人であることと坂口杏里に似てることは無限の隔たりがあると思うわけよ。だからあの記述はおかしい」  これを1レースごとに天丼してくるのだ。正確に言うと、30分に1回の頻度で言ってくるのだ。完全にうんざりだ。
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やがておっさん二人で天丼の応酬に
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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