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履正社、星稜ともに甲子園決勝で「絶対に負けられない理由」

県勢、そして北陸勢初の悲願なるか、星稜

エキストラ・イニングス――僕の野球論

松井秀喜の母校だが、優勝経験はない星稜。
画像:エキストラ・イニングス――僕の野球論(文藝春秋)

 一方、履正社を迎え撃つ星稜にはこんな快挙がかかっている。春夏を通じて“石川県勢初の全国制覇”である。これまでの石川県勢の甲子園成績は’95年第77回夏の甲子園での同校の準優勝が最高成績だった。  このときは2年生左腕の山本省吾(元・オリックスなど)の力投で県勢初の甲子園決勝戦進出を果たしたが、最後はケガ人が続出したこともあって、強豪・帝京(東東京)の前に1-3で惜敗し、涙を飲んでいる。  それから実に24年越しの決勝戦進出となれば、もう負けられないだろう。さらに北陸勢としても初の夏の甲子園優勝がかかっているのだ。いわゆる富山・石川・福井の北陸3県は、福井県の敦賀気比が’15年第87回の春の選抜で優勝を飾っているが、夏は前述した星稜の準Vが最高なのだ(新潟を含んでも、同県の日本文理が’09年第91回夏の甲子園で準優勝に終わっている)。  果たして北陸に初の深紅の大優勝旗をもたらすことが出来るのか? 注目である。

春の選抜初戦で勝ってるだけに負けられない

 実はこの両校は今年の春の選抜初戦で顔を合わせている。そのときは星稜がエース・奥川恭伸が強力・履正社打線から毎回の17奪三振という快投を見せ、3-0で快勝しているのだが、この春の選抜初戦と同じカードが夏の選手権の決勝戦で再戦となるのは、筆者の知るかぎり過去にたった1例のみ。  ’63年の第45回大会の明星(大阪)-下関商(山口)である。このときは春の選抜で下関商の剛腕エース・池永正明(元・西鉄。現在の埼玉西武)が明星の強力打線をわずか3安打に封じ込め、5-0で完勝。逆に夏の選手権は明星打線が池永の攻略に成功して2-1で競り勝ち、下関商の春夏連覇を阻止している。  と、こう書くと今回の履正社-星稜も何やら似たような状況になっている感じである。星稜にとっては履正社がかつての明星と同じ、大阪勢というのも不気味な符合ではある。 ――1回戦で大会最多タイ記録となる1試合5本塁打を放ち、5試合連続二ケタ安打をマークするなど超強力な打線が自慢の履正社。対する星稜はここまでの5試合で失点わずかに5。エース・奥川に至っては自責点0という強力な投手陣を誇る。  まさに“最強の盾”と“最強の矛”が激突することになった最後の大一番。どちらにとっても“絶対に負けられない戦い”を制したチームが、令和初の王者に輝くこととなる。野球ファンよ、刮目必至だ!!<文/上杉純也>
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