「一人暮らし」は必要か? 親元を離れてはじめてわかること
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第119回
人間関係は距離感に表れます。「親しい」というのは「近しい」ということであり、つきあいがなくなることを「疎遠になる」と表現します。
一般的には、人と人の距離が近づくことが「良いこと」とされています。たとえば単なる友人だったのが親友という間柄になると、お互いに本音を語り合い、それが人生観を養う機会になります。
しかし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがあるように、人間関係も「近ければ近いほど良い」とは限りません。相手との距離が離れたからこそ、わかることもたくさんあります。
私はコンサルタントという自分の仕事を拡大するために上京し、親元を離れました。その引っ越した日の夜、荷ほどきをしている最中に、「これから自分は東京で、母親の名誉ために仕事をするのだ」という想いが込み上げてきました。
実家にいた時は、そんな風に考えたことなど一度もありませんでした。それは距離が離れたからこそ気づけた、自分の本心でした。そして、その本心に気づいてから、それまで以上に仕事に真剣に向き合えるようになりました。
仕事を仕事だけで考えるのは浅はかです。頭は物事を分けて考えたがりますが、心は合わせて考えようとします。そして、頭ではなく心に重きを置いた方が、結果的には幸せになれます。「仕事はうまくいっているけど、家庭は崩壊している」というケースは珍しくありませんが、それはバランスを取るためにある心を無視しているからです。
そして、自分の心に気づくためには、時には人から離れることが必要になります。あまりに近すぎると、「自分と相手が同じことを考えている」と思い込み、少しずつすれ違いが大きくなっていくからです。
「自分と相手が同じように考えている」という無自覚な前提が、人間関係のトラブルの主な原因です。そして「自分と相手は別のことを考えている」ことを学ぶ一番の機会が家族です。家族ですら同じではない、と気づけば、家族以外を相手にしても同じように考えられるようになります。
もしあなたがこれから大学進学や就職で親元を離れる機会が控えているのなら、ぜひこの話を思い出してみて下さい。自分の家族について考える機会になり、人生が変わっていくきっかけになるでしょう。
仮にあなたの家が家業を営んでいて、それを受け継ぐために家に戻ることが決まっていたとしても、一人暮らしを経験することは無駄ではありません。実際に、自分の子供を同業他社へ修行に行かせる経営者はたくさんいます。
また、もしあなたが親の立場で子供を送りだす機会が来た時は、気持ちよく送り出しましょう。それもまた親が子に与えられる教育の一つです。
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中『人生を変えるマインドレコーディング』 人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ! |
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ