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元キャバ嬢が見た香港の夜。キャバクラは意外にも、日本人客で賑わっていた?

香港キャバクラの今

 その後、日本人キャバクラへ行ってみた。店内は意外にも、多くの日本人客で溢れていたので、店の女の子に話を聞いてみた。 「日本で流れている報道のイメージが強すぎるのもあるのか、出張客は最近見ていませんね。仮に来たとしても空港の閉鎖などで帰れなくなったら困るから、日本の企業も渡航禁止命令を出しているそうです。いま来ているお客さんは駐在員と、以前香港に住んでいたビジネスマンです。こっちの知り合いに情報を聞いてデモがない平日に来ているみたい。あとは台湾や中国本土からの出張客ですね。日本ほど大きく報道されていないのか、デモがあってもそこまで気にしていないのか、夜も普通に出歩いていますね」  また、銅鑼湾で起きたデモ隊と警察の衝突についてはこう振り返る。 「デモが起こったとき、この辺一帯の店やデパートはすべて閉店していました。ここのビルも封鎖されてしまったので、店から『今日は休みにする』と連絡が来ました。キャストは店の近くの寮に住んでいるのですが外出もできないので、みんなで寮で飲み会をしていましたね」  また、香港に20年間勤めているという男性客のタナカさん(仮名)は8月に九龍の家の近くで起きたデモについてこう語った。
デモ最中だと感じさせる壁に書かれた文字

デモ最中だと感じさせる壁に書かれた文字

「デモがあるときは前もって会社から通知が来るので公休や早退することができるんですが、夕方に早退を言い渡されたときは参りました。夜間にデモが行われると聞いたので早めに帰ったのですが、その日の夕方から町中の店がすべて閉業したんです。20年間住んでいて初めてコンビニとマクドナルドが閉まっているのを見ましたよ。1人暮らしで普段は外食をばかりなので家に食料もないのにスーパーも開いてなくて……翌朝まで飲まず食わずで過ごしました。
地下鉄の様子。皆、黒い服は避けているように感じた。

地下鉄の様子。皆、黒い服は避けているように感じた。

 でも、もっと悲惨なのは会社から少し遠い場所に住んでいる従業員。早退したのに地下鉄どころか信号も止まっていて、タクシーも走っていないので家に帰れなかったそうです。外を歩くのも危険なのでフェリーでマカオに行って翌朝、香港に帰ってきたそうです」  交通機関や買い物以外は今のところ、特に被害はないと話す在住日本人達。2日間、香港で取材を行ったが筆者自身も特にデモの影響を受けることはなかった。  なお、今月15日には香港島の銅鑼湾から中環まで無許可の大規模デモが行われ再び警察との衝突が起きたと報じられた。筆者が行ったときは偶然にも休息期間中だったのかもしれないが、収束するにはまだ時間がかかりそうだ。<取材・文・撮影/カワノアユミ>
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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