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インプットとアウトプットどっちが大事?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第125回
インプット

※写真はイメージです

 人が何かになれるのは、何かを成した時だけだ。小説家になれるのは、小説を書いた時だけだ。絵描きになれるのは、絵を描いた時だけだ。マーケッターになれるのは、マーケティングをした時だけだ。  この当たり前の事実は「勉強」によって忘れ去られる。「小説の書き方をたくさん勉強すれば小説家になれる」「絵の描き方をたくさん勉強すれば絵描きになれる」「マーケティングの勉強をすればマーケッターになれる」と何となく思い込んでしまう。そしてある日、自分が何もしていないことに気づいて、愕然とするのだ。  インプットとアウトプットなら、インプットの方が簡単だ。見ているだけ、聞いているだけでいいほど、ラクなことはない。だから意識せずに過ごしていると、アウトプットが減り、インプットが増えていく。積極的にならなければ、アウトプットはできない。だからこそアウトプットはインプットよりも重要とされるのだ。  人生は自分の考えを誰かに伝えることで変わり始める。私は昔、あるカフェのエスプレッソについてレビューをしたところ、そのカフェのオーナーの目に留まり、「この動画は自分が考えていることを全部説明している。ウチに来るお客さんはみんな、この動画を見てきて欲しい」と評価してもらえた。  この出来事がきっかけで、私は「もっと自分の考えを人に話してみよう」と思えるようになった。現在はブログや動画だけでなく、こうして「日刊SPA!」で連載したり、書籍を出版したり、学生時代の友人とトークイベントを開いたりしているのも、そのレビュー動画が始まりだった。  自分の行動は「自分がどういう人間なのか」というセルフイメージに基づいて選択されている。そして、そのセルフイメージは自分一人で作り出すことはできない。いくら「自分は大金持ちになれる人間だ」とか「自分は異性にモテる人間だ」と言い聞かせても、「本当にそうだろうか?」と疑ってしまう。 「自分はこういう人間だ」と思えるようになるには、他人の反応がいる。自分の行動を誰かに認められた時、「やっぱりそうなんだ」とセルフイメージが定着する。何かの行動を取り続けるようになる根底には、誰かに心を揺さぶられた経験が原風景としてある。「自分」の輪郭は、自分を取り巻く「他人」によって作られるものだ。
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承認欲求は必要なものだ
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