仕事

42歳日雇い男、若者だらけの職場で働く「20代バイト女子に命令されて」

「いつまでこんな生活続けてていいと思う?」

帰り道 ようやくその日の仕事が終わり、春奈といっしょに駅まで歩いた。その途中、彼女のほうからこう言ってきた。 「ねえ、お腹空いてない? なにか食べていこうよ」  二人で適当なラーメン屋に入った。彼女は麺を啜りながら楽しそうにジャニーズの話をする。僕はジャニーズのことなどまったくわからないので、ただうんうんと相槌を打つ。  やがて話題は彼女自身のことになった。ブライダル関係の仕事に就きたいと思っているのだが、なかなかその機会を掴めず、ダラダラと派遣で食いつないでいる。そしてそんな日々に不安を感じているという。彼女は少し深刻な面持ちでこう訊いた。 「いつまでこんな生活続けてていいと思う?」  この質問は僕と春奈でかなり意味合いが変わってくるように思えた。彼女の年齢はおそらく二十代半ばくらいだろうか。そして僕のこともそれくらいの年齢だと思っているのかもしれないが……。 「わかんないけど……、何歳までにどうこうって考えるのは自分を追い詰めるだけだから、そういう考えは捨てたほうがいいと思うよ」 「……うん、そうだよね」  僕は自分自身に言い聞かせるかのようにそう言った。言いながら、自分の胸中に苦々しいものを感じていた。  その後もしばらく飲食系の派遣を続けていた。ある日、一軒の日本料理屋にひとりで派遣された。が、その店の店長らしき初老の男は僕を見るなりこう言い放った。 「ひげが生えてるじゃないか。そんなんで働かせられるか。帰れ!」  門前払いだった。自分の口元に手を当ててみた。ジョリッとわずかに剃り残しがある程度なのだが……。空を仰いでふうッとため息をつく。  こんな生活いつまでも続けてていいわけねえだろ……。僕はその店の看板をガンッと蹴っ飛ばしてそこをあとにした。<取材・文/小林ていじ>
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。100均グッズ研究家。
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