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新国立競技場の残念な真実。観にくい座席、作業員の過労死も…

欠陥と欠点だらけのスタジアム環境

 新国立競技場のスポーツでのこけら落としは元日のサッカー天皇杯決勝戦。完成後、初のスポーツ試合ということで注目が集まったが、蓋を開けてみれば酷評の嵐だった。ネットでは「座席の通路が狭く途中退席はかなり困難」という声も多い。実際に観戦したサポーターの男性は呆れ顔だ。 「サッカー界では観にくいと悪評高い日産スタジアムよりは観やすいけど『新しく造ってこのレベル?』って思いましたね。トイレも少ないし、通路は狭い。設計した人に『お前、一度もスタジアムなんか行ったことねえだろ!』って言いたくなるレベルです」
新国立競技場

1階席はフラットで観にくい傾斜角度。1階席よりも2・3階席のほうが角度もあり、観やすいという声が多数聞かれた

 世界のスタジアムを巡り、天皇杯も観戦したスポーツライターの杉山茂樹氏も出来の悪さを嘆く。 「サッカー、ラグビーともに満員と発表されましたが5万7000人どまり。観客席に割り当てられる実際の数は6万人を割り込むでしょう。ナショナルスタジアムにしては小さいですね」  杉山氏によるとワールドカップなどの世界的なスポーツイベントを開催する場合、メインスタジアムに求められる収容人数は7万~8万人が最低ラインとされているという。そのため、新国立競技場は世界的なスポーツイベントに対して、汎用性が低いという。 「仮に日本でサッカーのワールドカップを開催しても、決勝戦の開催は収容人数的にはNGです。新国立競技場は客席が3層式なので収容人数は稼げるはずでした。2階席、3階席をひさしのようにせり出せば、あと1万席は確保できたでしょう。3層式のメリットを生かしきれていないんです」

屋根の影がグラウンドに…試合に影響も!?

 隈研吾氏設計の新国立競技場は「杜のスタジアム」と題され、木をふんだんに取り入れていることが強調されている。木材と鉄骨のハイブリット構造の屋根がその最たるものだが、杉山氏は「国立競技場のよさが消えている」と話す。 「かつての国立競技場は、神宮の杜の外気とスタジアム内の“交流感”が魅力でした。空がよく見えて、外苑の空気が吹き抜けていくのがよかった。それが『杜のスタジアム』だと思いますが、新国立は木製の屋根の圧迫感がすごすぎて、それがシャットアウトされています。屋根の存在感が強すぎる。また、その屋根によって影もできやすい構造なので、時間帯によっては試合が観にくくなると思います」
新国立競技場

屋根ができたことで日中はグラウンドに影が落ちることも。ボールが見づらくなることも……

 屋根だけではなく、座席もやはりひどいと杉山氏は嘆く。 「細かいことを言うようですが、座席の色が深緑や白ばかりで辛気くさい。世界の大きなスタジアムの座席の色は、選手や観客の気持ちをハッピーにさせるようにオレンジなどポップな配色です。でも、新国立はかしこまってしまう印象で、観客のテンションや選手たちのプレーにも影響するのではないでしょうか」
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座ったら最後!試合終了まで出られない狭さ
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