ブラック企業“霞が関”の本音。過労死ラインを越える残業が月100時間以上
最近、霞が関を去った元官僚たちが相次いで声を上げている。過労死ラインを越える残業、理不尽な国会対応、進まないテレワーク……。崩壊寸前の霞が関で何が起きているのか。元官僚たちが打ち明ける――。
「厚労省は負のスパイラルに陥っています」
SNSで官僚の働き方の問題を発信する元官僚系YouTuberのおもちさん(20代・男性)は、「古巣」で不祥事が続く背景をこう語る。
「最近では、新型コロナの接触確認アプリ『COCOA(ココア)』で接触通知が届かないという不具合がありました。システムに詳しい人材がおらず、業務をIT会社に丸投げしたままチェックもできなかったのでしょう。
随分前から『身近な人が感染したのにアプリの通知が届かない』という声がツイッターにも上がっていたのに……そういう情報を拾い、改善する余裕すら、もう厚労省にはなくなっているのかもしれません」
おもちさんの動画によれば、他部署と比べれば残業代は多く、給料は高めだというが、時給換算すれば2000円にも満たない。
近年、厚労省では障害者雇用水増し問題や統計不正など失態が相次いでいる。
「“誰か”のために働きたいという思いを抱いて入省してくる官僚は多いが、役所に不手際があれば、その“誰か”に迷惑をかけることになり、申し訳ない気持ちになる。
私の場合、出口のない対応に追われ、終電で帰れるのは月2、3回。月200時間残業しても、支給される残業代は時給換算すれば最低賃金を大きく下回る。平日は家族の寝顔しか見られない日々で、30人規模のある部署でも7~8人が休職、退職者も数人出たことがありました。
1人あたりの業務量が多すぎるとミスが起きやすく、それが大きくなると不祥事を生む。まさに負のスパイラルです」
そこに新型コロナウイルスが追い打ちをかける。働き方改革を支援するワーク・ライフバランスが発表したコロナ禍の実態調査によると、実に官僚の約4割が、過労死ラインとされる単月100時間以上の残業を強いられている実態が見え隠れする。
おもちさんは「もはや官僚がかわいそうという問題だけでなく、このままでは国民に悪影響が出てしまう」と指摘。
「霞が関全体で適正に残業代を出す仕組みにすれば、全体の業務やコストが可視化でき、必要な業務効率化や人員の議論につながる。まずはそこから」と訴える。
不祥事が続出する原因は過労死ラインでの働き方
官僚の約4割が単月100時間以上の残業を強いられている
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