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新国立競技場の残念な真実。観にくい座席、作業員の過労死も…

座ったら最後!試合終了まで出られない狭さ

 さらに一般の観客からも指摘があった座席の狭さにも言及した。 「座席の幅は決定的に情けない。膝の15cm先に手すりがくるので移動ができません。外国人の方だとなおさら狭いでしょう。わざわざ日本まで来て、高いチケット代まで払ってこれか……と思いますよ」
新国立競技場

あまりにも狭い座席は話題に。一列が長いため、逃げ場がなく試合が始まると出るのは困難

 杉山氏は次のように総括する。 「日本の経済規模なら、世界中からトップクラスのスタジアムと称賛されるスタジアムを造らなきゃいけないのですが、収容人数や構造、デザインなどどれも中途半端。なにも考えないで造ってしまったなという印象です。隈研吾さんは昔の国立のよさや、スタジアムのことをわからないまま設計したと思わざるを得ません」  こうして残念すぎるスタジアムとして完成してしまった新国立競技場だが、前出の川人弁護士は今の気持ちをこう語る。 「過労死が起きたことを考えると複雑です。風化させないためにも個人的には無名労働者の慰霊碑があって然るべきだとは思いますね」  世界に恥をさらすオリンピックになる可能性は高い。 【川人 博氏】 過労死をめぐる訴訟や「過労死110番」の活動、北朝鮮による拉致問題などに取り組む。電通の社員で、長時間労働の末15年に自殺した高橋まつりさんの遺族の代理人も務めた 【杉山茂樹氏】 スポーツライター。W杯は’82年のスペイン大会以降、10大会連続で現地取材を行う。世界中のスタジアムで観戦した経験でスタジアム評論家としても活動する 取材・文/沼澤典史・野中ツトム(清談社) 佐藤永記 写真/朝日新聞社 ※週刊SPA!1月28日発売号より
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週刊SPA!2/4号(1/28発売)

表紙の人/ 広瀬アリス

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