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“盛り”“整形”どんとこい! 真の性愛を考えさせられるハードSF/明石ガクト

『オルタード・カーボン』
オルタード・カーボン

『オルタード・カーボン』より

“盛り”“整形”どんとこい! 真の性愛を考えさせられるハードSF

 もし生まれ変われるとしたら髪かき上げるだけでめちゃくちゃいい匂いのするオンナになりたいワンレンヘアの髭男、ワンメディア代表の明石ガクトだ。  インスタを徘徊しながら「おー、可愛い! スタイルも最高!」と思って目をつけたコが整形と豊胸の数え役満だと知った途端に醒めてしまうSPA!読者の皆さん、ちょっと待って。現役高校生の約60%が「整形願望あり」と回答する時代に、昭和丸出しな自然派志向は時代錯誤の極みなのかもしれないよ?
 いや、わかるよ。僕もアンダーヘアはツルツルがいいけど整形はちょっと……とか都合のいい発言を過去にはしてました。でも断言しよう。Netflixのオリジナルドラマ『オルタード・カーボン』を観たら考えを改めざるを得ないと。スリーヴと呼ばれる肉体を「着替える」ように取り替えることで、カネさえあれば不老長寿はもちろん容姿や性別さえも思いのままに変更可能になる未来の話。まるで攻殻機動隊のようなハードSFの世界観の中で、人はどんな性愛の基準を持つようになるのか?  写真アプリで「盛る」ような気軽さで体が更新できる環境なら、見た目ではなく魂そのものをもっと愛するようになる。そんなテーマを感じる本作にどハマりした今ならば、どんなに体をいじっていようが(あるいは上も下もボーボーなナチュラリストだろうが)、大事なのはハート……胸を張ってそう言える。  よし、今日も広大なネットの海に溢れる特盛りにされた体の向こう側にある魂へ「いいね!」を押しにいこう。
’82年、静岡県生まれ。上智大学卒。’14年、ONE MEDIAを創業。近著に『動画の世紀 The STORY MAKERS』(NewsPicks Select)がある


●『オルタード・カーボン
サイバーパンクSF小説を原作に、死を克服した未来と再生する肉体を描く。Netflixでシーズン2まで配信中

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