仕事

風俗嬢のコロナ禍、支援団体に届く声。150万円の月収が5万円に

 新型コロナウイルスの感染拡大は多くの職種に多大な影響を与え、これまでの働き方を変えざるを得ない状況を作った。緊急事態宣言ののち、デリヘルやソープランドなど、自粛要請を受けた店舗が続々と休業し、働く女性らが困窮した。
坂爪真吾氏

風テラス 坂爪真吾氏

 弁護士や社会福祉士が中心となって、風俗で働く人たちのために無料で生活や法律に関する相談を受けている「風テラス」発起人の坂爪真吾氏に、コロナ禍で困窮した女性たちの実情を聞いた。

昨年比で相談者数が11倍に増加

「コロナ感染が拡大の兆しを見せていた2月の中旬以降から、非常事態宣言、さらに解除後までの風テラスの相談者の数は、4月が最大で、去年比の11倍強でした」  感染拡大の兆しを見せた2月で110名(昨年は78名、以下同)、3月が163名(53名)、4月が816名(77名)、そして5月が425名(88名)だった。非常事態宣言が発令された4月に、相談者が爆発的に増えたことがわかるが、特に4月の上旬から中旬にかけて、ひっきりなしに連絡があったという。 「相談者の年齢で一番多いのは、25歳から29歳で、全体の2~3割。その次が30代前半で2割と若い世代が半分以上です。相談の内容は、休業などによる収入減による生活困窮が6~7割。次に、給付金に対する質問です。風俗で働いていても貸付や給付金の申請手続きができるのかという内容が多かったですね」
悩む女性

写真はイメージです(以下同じ)

 風俗で働いていることに対する世間への負い目があるため、自分から「補償をください」と声を出して訴えられない人が多いというから、なんともせつない。  ではコロナ禍で相談者が多いのは、どの職種だったのか。 「風テラスはこれまでデリヘルなどの相談者が多かったですが、コロナ禍では、ソープランドで働く女性からの相談が増えましたね」

地方で働くシングルマザーの困窮事例とは

 ソープランドは「近距離」「対面」でまさに濃厚接触の最前線だ。さぞかしコロナ感染の恐怖でおののいていたと想像できるが、性感染症になると仕事として命取りになるので、これまで感染症対策をしっかり行なっているソープ嬢はコロナに対しても意識が高いという。その意識高い系のソープ嬢が最も打撃を受けたのが、休業による収入減だった。坂爪さんは、30代のソープ嬢の事例を挙げてくれた(プライバシー保護のため、坂爪氏の事例の情報は一部改変)。 「お子さんが小学生と中学生の二人のシングルマザーで、都内在住の35歳。仕事はもっぱら地方。お子さんがいるので日帰りで働きたいと、山梨や静岡に出稼ぎをして、店舗で働いています。ところが緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請されると、県をまたいでの出稼ぎ者は肩身が狭いため、収入が激減したそうです」  大都市・東京からの移動。「コロナをばらまかれるのではないか?」という周囲の目に、次第に仕事がしづらくなったという。 貯金通帳 「150万円の月収が半分以下になり、さらに40万円から15万円に。とうとう5万円になり、貯金を切り崩しての生活を余儀なくされたそうです」  風テラスは、まず相談者がどうしたいかを確認する。本人の意向を最も大切にして、その上でアドバイスをするという。 「風俗をやめたいという人には、利用可能な制度や支援機関を紹介しています。また続けていきたいという人には、コロナ禍で受けられる制度をできるだけ活用して、緊急事態宣言が解除されたのちにタイミングを見計って復帰という道のりを提示します。事例のシングルマザーの女性はこのまま仕事を続けたいというので、コロナ収束までに利用可能な貸付や給付金などの申請を勧めました」  コロナが収束するまで、生活保護を受給することも解決策の一つだが、生活保護受給にあたって親族に通知が送られるため、「親族に知られたくない」という人が少なくないという。
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収束したら仕事に戻りたい女性が多い
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