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一蘭の「赤い秘伝のたれ」の秘密。社員すらレシピを知らない

追加のたれは「絶対に別皿での提供はしない」

 さらに、「途中で『赤い秘伝のたれ』を追加して食べる方法もおすすめです」と話してくれたものの、追加で提供される『赤い秘伝のたれ』は、「絶対に別皿での提供はしません」と話す。 「お客様のどんぶりをいったんお預かりして追加のたれを乗せております」  いったい、なぜなのか。その理由は「別皿で提供することにより『赤い秘伝のたれ』だけをこっそり持ち帰って模倣される可能性があるため」とのこと。  想像以上にその秘密を守るため、徹底されていることがうかがえる。  『赤い秘伝のたれ』は、福岡県糸島の工場併設型の店舗「一蘭の森」にて、レシピを知るたった4名で作っているという。 「そのレシピは担当の4名以外は社員ですら知ることが出来ません。『唐辛子を基本に30数種類の材料を調合している』というところまでは知らされていますが、広報の私ですら具体的な配合はわからないんです」  「一蘭の森」では、かなり厳重に一蘭こだわりの味が守られている。 「工場では麺の担当者、スープの担当者、チャーシューの担当者……とそれぞれ担当が決められています。製造担当の者であっても、自分の担当以外のエリアには絶対に立ち入ることができません。  そして、麺の担当者は麺だけを担当しますので、たとえ工場で60年勤務した者であっても、1人で一蘭のラーメンを再現することはできません」  一蘭のラーメンは、40人以上の職人のノウハウが結集し誕生している1杯なのだ。中でも『赤い秘伝のたれ』は門外不出のトップシークレット。レシピの流出を防ぎ、味を守るためにたった4人にしかその詳細は知らされていない。 「福岡県糸島の『一蘭の森』では国内と海外すべての店舗で使用する『赤い秘伝のたれ』を製造しています。海外の店舗で使用する『赤い秘伝のたれ』は現地で作ればいいじゃないか、と言われることもありますが、1か所で製造することは、それだけ味を守っていくために大切にしていることの証でもあります」

お店では門外不出の『赤い秘伝のたれ』をどう扱う?

とんこつラーメン それだけ徹底管理されている『赤い秘伝のたれ』。しかし実際に調理をして我々に提供してくれているのはお店のスタッフだ。全国どこの店で注文しても同じクオリティのラーメンが食べられるのはなぜなのだろうか? 「店舗では、従業員の教育を徹底しております。盛り付けの美しさはもちろんですが、麺の湯切りの回数、茹でる秒数などすべてが細かく決められており、そして遵守されています。ご提供までの間に少しでもスープの温度が冷めてしまえば作り直しますし、麺が伸びてしまわないように、完成して15秒以内にお客様に提供するなど徹底してこだわっております」  ちなみに、店舗では『おみやげ一蘭』としておみやげ用のラーメンのセットが販売されている。そこまで徹底しているということは、おみやげ用のセットは味が違うのか? 「そもそも店舗の味の再現ではなく、お持ち帰り用に特別に開発した商品です。もちろん、『おみやげ一蘭』もご自宅で楽しんでいただけるよう徹底して美味しさにこだわっております」
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『赤い秘伝のたれ』を楽しむ裏技は?
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インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA

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