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笠松競馬の騎手ら3億円超の所得隠しが、コロナであぶり出された裏事情

内部情報でどこまで勝てるものなのか

 また、今回の報道では馬の体調などの内部情報で儲けていたとあったが、それはどの程度有力なのだろう。競馬予想界隈ではこんな見解もある。 「中央競馬だと完全ではないがコメントも広く伝えられ、また、近年ではパドックで脚の状態を見定める人たちが多く、表になってなくても見抜いていく人たちもおり、パドック予想は進化していますからそこまで内部情報が有効でもなくなってきています。ただ、地方ではデータベース的利用者もまだまだ少なく、パドック文化的にもそこまで至っていないところが多いので、こうした情報は有効だったのでしょう。現に利益が出ているわけですから」(競馬予想紙記者)  結局は情報公開を進めていくことで抑止力とするほかないだろう。今後は笠松だけでなく、競馬情報の透明化や在り方も見直しが迫られる。

一般客にしわ寄せがくる

 この一件で、税務調査をすればインサイダー・八百長事例は炙り出せることが分かったと言っていい。今回の笠松競馬のみならず、すべての公営競技で、関係者の税務調査に準ずる調査を徹底して行うことで、全体をキレイにするほか失った信頼を取り戻す方法はないのでは。幸いにして、コロナによる無観客開催が「悪さをしていた人たち」をすべて浮き上がらせてくれているのだから。  地方競馬においては、賞金が安く関係者も苦しい状態というのはよく聞く。コロナによって空前のネット投票バブルが起き売上が上がったのなら、こうした状況を改善してほしいのはもちろんだ。だが、信頼を回復させるために、透明性と公正さを担保できるよう改革していただきたいと切に願う。もちろん、先は明るくない。今回の一件で笠松競馬は開催を中止しているが、悪さをしていなかった関係者や馬を預けている馬主の被害額は想像を絶するものがあるし、3億円もの申告漏れが起こるほど関係者で「抜いていた」のであれば普段笠松の馬券を買っていたお客側は相対的に払い戻しを少なくされていたことになる。  競馬が好きだから存続してほしい。私はそう思っているが、簡単にそんなことは言えない悲しい状況だ。笠松が生んだ名馬オグリキャップも泣いているのではないか……。
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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