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昼酒が楽しい小さな台湾料理店――ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳

台湾人のお母さんの話が面白すぎて、それをつまみに昼から飲むのが楽しい。

瑞鳳

28歳で日本にやってきた徐瑞鳳さん。店名は自身の名前から。「お客さんに、昔の日本の航空母艦の名前と同じだと言われたよ」とお母さん。17時に店のオーナーである妹夫婦と交代し、お母さんは自宅でおこわの仕込みをするそう。現在65歳の働き者

 そもそも台湾は、父が単身赴任をしていたこともあって、子どもの頃からよく遊びに行っていた慣れ親しんだ場所。台湾の人は子どもに優しいから、いい思い出がたくさんあって、だから台湾大好き! 安くておいしいものの天国だし、ゆで卵文化がすごいところも卵好きの私にはテンションが上がる。そうそう、この店の牡蠣オムレツも甘辛味のタレが独特で、絶品なんだよねー。
瑞鳳

台湾屋台でお馴染みの牡蠣オムレツ¥700。台湾産のタピオカ粉と日本の小麦粉2種類をブレンドした生地はもっちもち。そのわりには重くないので、意外にペロリと食べられる

 台湾人のお母さんのキャラクターも最高で、あまりに話が面白すぎて、それをつまみにメニューを眺めているだけでも十分飲める。なので、お客さんが少ない午後2時とか3時くらいに行って、お母さんの話を聞きながら、ちょこちょこつまんでウーロンハイをダラダラ飲んでいるのが常。

名物のおこわをはじめ、すべてが本場の味

瑞鳳

テイクアウトや通販でも人気のおこわ¥500。具は豚肉としいたけのみで、干し海老と台湾醤油、秘伝のスパイスを加えたタレが味の決め手。油を使っていないのでさっぱり軽い。台湾では結婚披露宴や宴会、出産祝いなど、おめでたい席には欠かせないものだそう

 あるとき、「うちの名物はおこわなのよ」とお母さんに言われてテイクアウトして帰ったら、香ばしくてコクがあるのにさっぱりとして軽い! 聞けば、お母さんが生まれ育った台湾の龍山寺界隈で、1926年からリヤカーでおこわを売っていた“おこわばあちゃん”から受け継いだ味なんだとか。
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アットホームな雰囲気が最高
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