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総合商社ランキングに異変アリ。三菱商事の落日、非財閥の伊藤忠が首位に

非資源に強い、伊藤忠商事

 一方、非資源に強い伊藤忠は純利益の予想が、予想通りの4000億円で着地するとみられています。中間決算では、2525億円と63.1%と50%を超える進捗状況です。 伊藤忠進捗率 鉄鉱石や、中国向けの日用品など化学品、情報・金融部門が堅調で苦戦するアパレルやコンビニ、自動車販売を補っています。 「非資源ナンバーワン商社」を看板に掲げてきた伊藤忠は住生活や機械などの非資源事業が着実に利益を積み増しているのです。 伊藤忠 構成比率 特に、今後、1位の座を守るためには20年に完全子会社にした、ファミリーマートが鍵になります。  商社が得意とする「川上」の原料調達から、「川下」の小売り店運営にまで事業を拡大し、一気通貫したビジネスを展開して安定的な収益を稼ぐにはコンビニは重要な存在です。  ファミマは伊藤忠の今後の成長エンジンと期待されていますが多くの課題を抱えています。

伊藤忠、成長エンジェルのファミマの課題

1.海外展開が進んでいない。 2.中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引を行っていた問題。 3.国内では、お弁当などの商品開発力はセブン-イレブンに比べると見劣りする。  上記のような課題があります。  今回、伊藤忠商事の執行役員の細見氏が、新たにファミリーマートの社長に3月1日付で就任することが決まりました。細見氏はファミマの立て直しだけではなく、ファミマの強みを伊藤忠の成長に結びつけることが期待されています。  全国で1日約1500万人が来店するファミマの顧客購買データの活用が焦点のひとつです。伊藤忠がファミマ、NTTドコモ、サイバーエージェントと組んで2020年10月に設立した「データ・ワン」という新会社を活用して、購買データ、ドコモのdポイントカードデータ、そして顧客の位置情報を組み合わせてターゲッティング広告などを展開していきます。  消費者の視点を大切にする、すなわち「マーケットイン」を重視する伊藤忠にとってファミマの事業強化によって、グループのさらなる成長へのカギとなりそうです。  また、三菱商事は、資源価格の回復により再び首位に返り咲く可能性もありますが、本質的には、順位そのものの戦いではないでしょう。  商社は今後、より「非資源分野」がカギになるのは間違いないのです。
馬渕磨理子

馬渕磨理子

<文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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