更新日:2021年03月01日 20:23
ライフ

順風だった生活がコロナで一変…昼職とスナックの掛け持ちで家族を養う女性

夫が突然の家出。捜索願を出そうとすると…

うつ しかし、社員に給料を払えても個人の収入はさらにマイナスが増すばかり。聡子さんの夫は毎日、家にいて何もしない日が続いたという。 「家にいるときは子供の面倒を見てくれるのですが、どこか目が虚ろで。元々、夫は1人で色々溜め込む性格で人にあまり相談をしないんですよね。少し、心配だな……と感じていたときに夫が家出したんです。子供の習い事から帰ってきたらスマホを置いたままいなくなっていたので、悪い予感がしました。  3日経っても帰らなかったので捜索願を出そうか考えていたとき、同じく連絡を取れなくなって心配していた義母から電話が来て夫が大阪のビジネスホテルに泊まっていたことが分かりました。迎えに行った夫を心配して病院に連れて行くと、うつ病と診断されました。仕事を休職することになり、私が派遣社員として復帰することになったのです」

契約社員とスナックのアルバイトで生計を立てる

 静養中の夫に変わって就職を試みるも、コロナ禍でどこも見つからなかったという聡子さん。仕方なく、以前働いていたデザイン会社に頼み込み、契約社員として復帰することができたのだが。 「結婚を機に退社して夫も独立したはずなのに、なんで復職したんだろう……という好奇の目で見られますね。しかも、会社もコロナ禍で残業などは一切ありません。昼の仕事だけではとても毎月の生活費を払うことができないので、夜はスナックのアルバイトも始めて月収は25万円ほど。夫は静養中に自己破産も考えたそうですが、子供もいるし家のローンもあるので私が働くしかありませんね。  一時は夫を家に1人でいさせるのが怖くて、義母に来てもらったり子供にもなるべく学校から早く帰るようにしてもらいました。最近は子供との時間が増えたことで夫の体調も少しずつ良くなってきましたが、それでもまだ心配です」  聡子さんにとって家計の面でも心配だが、それよりも夫の精神面的な問題のほうが大きいだろう。経営者にとっては深刻なコロナ貧困。聡子さんのように水商売の世界に飛び込んで家計を支える女性は、今後さらに増え続けるのかもしれない。<取材・文/カワノアユミ>
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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