コロナのせいで「婚期がさらに1年遅れた」と嘆く看護師
日本で新型コロナの感染が拡大してから1年以上が過ぎたが、特に厳しい制約を受けての生活を強いられているのが医療従事者だ。
日本看護協会は昨年12月、『看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査』を発表。これによると同感染症の患者を受け入れている指定医療機関のうち、感染リスクを理由に看護スタッフが退職した医療機関は21.3%。
ただし、なかには建前上、別の理由を口実に辞めた人もいるだろう。筆者もそういったケースを知っている。看護師の松本理子さん(仮名・33歳)が勤める病院も昨年春~夏にかけて同僚が次々と辞めていったそうだ。
「私が勤めているのは、その地域では中核医療機関となっていた総合病院です。コロナ患者の診察や入院受け入れも行っています。辞めた看護師たちは家庭の事情などそれっぽい理由を口にしていましたが、本当はコロナを怖がって辞めた人も多いはずです」
以前から看護師の数が不足気味で、病院では常時募集をかけていた。それでも人口数万人しかいない地方の小さな町ということもあり、人がなかなか集まらなかった。
そうした状況でのコロナ禍だったため、出産や育児などで現場を離れてしまった昔働いていた元看護師に連絡を取って週2~3日だけでも働きに来てもらったり、派遣看護師を頼ったりしてなんとか出勤シフトを回している。そんな状況は今も変わらない。
「特に冬場に入ってからの第三波ではウチの病院でも陽性と診断された方が増え、コロナ患者専用の病床も数はそれほど多くないですがベッドが全部埋まっていた時期もしばらく続いていました。私はもともと一般病棟の担当でしたが、一時期はコロナの患者さんの担当に回されていました。今はまた一般病棟に戻りましたが、『また増えたらお願いするかもしれない』とは言われています。できればやりたくないですがそれが仕事ですし、誰かが担当しなければいけないことなので……」
仕事ゆえに受け入れてはいるがコロナの指定医療機関ということもあり、現場で働く医療従事者に対しては病院外での行動も大きく制限されている。
ここ1年間は県外への移動が原則禁止。旅行を含む外泊はたとえ県内であっても認められていない。さらに以前は4人以上の会食が禁止だったが段階的に厳しくなり、現在は「1人での外食もなるべく避けるのが望ましい」と外でまったく食事ができない状態だという。
「あくまでウチの病院のルールですが、コロナ患者受け入れの医療機関ならどこも大差ないと思います。私はまだひとり暮らしだから自分が我慢すればなんとかなります。けど、昨年第1子を産んだ妹やその子供には一度も会えていませんし、半年前に結婚式を挙げた20年来の親友の披露宴にも出席できませんでした。どちらも県外だったからです」
感染を恐れて同僚が次々と辞めていった
病院外での行動も大きく制限される

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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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