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借金500万円男、競艇で後悔。40万円勝っていた未来はどこへ逃げた?

競艇は準優勝から素人でも予想できる

競艇

画像/Adobe Stock

 その日のデスクワークは3時間ほどで終わってしまった。僕はコピーをしたり、ゴミを捨てたりしていたが、15時を回ったところで事務所の温度が少し上がった。 「おい、準優始まるぞ」  見積もり用のエクセルシートの上に開かれていたのは競艇のYoutubeだった。平和島で行われた「マクール杯 ヴィーナスシリーズ第23戦」の準優勝戦だった。  競艇は一つの大会を一週間の間にすべて終えてしまったり、そもそも競馬と違って6艇しか走らなかったりと、手軽に買えてしまう一面がある。そして、僕がこれまで学んだ競艇の知識では、準優勝戦あたりから大会での選手のデータが揃い始めるので、買う根拠も十分に揃っている。当たる当たらないというよりは、素人が舟券を買うのにも扱いやすい情報が出ているということだが。  準優勝戦、11Rの予想をした。ほかの公営ギャンブルと同じく選手には強さを表す「級」があり、A1、A2、B1、B2の順に強いとされている。すべてのギャンブルにおいて適当な知識しか持たない僕は、当然A級の選手を主に買っていた。 「まあ1頭は買うとして、5も6もB級なんで普通に12-12-34とかで買いますかね」  この12-12-34という書き方は、1着に1か2、2着に1か2、3着に3か4の選手が来るように買うときに使う。この場合は、 1-2-3 1-2-4 2-1-3 2-1-4 の4通りだ。そして、競艇はほかの公営ギャンブルよりもずっと内側の選手が有利なレース展開になる。少し実力が足りなかったとしても1番の選手は勝ちやすいし、そもそも大会で勝ち進んだ選手が最後に1番の枠を取る。素人はまず1着が1番になるような舟券を買えばいつか当たる。

5番の森選手

 5番の森選手は一人だけB2の選手だった。B2とは競艇の選手の4つの級別で一番低い位置を指す。当然、僕は見向きもせず、 「5番が来たら仕方ねえな~」 くらいに思っていた。有利な内側でもなく、ランクも高くなく、これが競馬だったらきっとこのレースが終わったら忘れてしまうだろう。適当にギャンブルをするような人間は、そこまでは調べない。せいぜい出身が地元か、直近でどれだけ善戦しているか、だけだ。  当たり障りのない舟券を買い、レースが始まる。
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競艇はバカラに似ている
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フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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