更新日:2021年03月30日 23:26
デジタル

ゲーム機、ピザ宅配、コロナ対策…進化するセキュリティシールの謎

一般には買えないセキュリティシールの深い世界

 さて、そんなセキュリティシールですが、今回は製造元のリンテックからくわしい資料をお借りできたので、少しだけ紹介しようと思います。  一般的によく使われる改ざん防止ラベル(文字出現タイプ)では、表面基材に蒸着ポリエステルフィルム、粘着剤はアクリル系粘着剤を採用しています。粘着力はJIS法の試験では3.6N/10mmとなっており、しっかりと対象に貼り付けることができるのはもちろん、いざというときにはしっかりと開封済みを示す情報が残る仕組みです。
セキュリティシール

開封するとvoidの文字が残るのでひと目で開封済みとわかる

 ラベル自体を剥がそうとするとラベル部が破れ、きれいに剥がれないタイプでは、表面基材に特殊ポリプロピレン系フィルム、粘着剤はアクリル系粘着剤を採用。JIS法では測定時に基材がスグに破壊される為測定不可となっています。  このシールは開封防止にも役立つほか、郵便物の個人情報なども隠せるので、意外と需要が高いようです。
セキュリティシール

剥がそうとするとシール自体が破損するためきれいに剥がすことはできない

 まだまだセキュリティシールのバリエーションは多数ありますが、どの製品にも低温、高温条件下では粘着力や保持力が低下し剥がれやすくなるとの注意書きがあります。  筆者としては分解する際にきれいにはがせるに越したことはないので、試しにドライヤーで温めて剥がしてみたところキレイに剥がれません。使い切りの永久接着タイプでは、どうあがいでも開封済みが判明するので分解してもとに戻すなんてことはできないようです。  なお、今回お借りした素材は残念ながら個人販売を行っておらず、リンテックから直接購入することはできません。個人で使用する際は、サンワサプライなど個人向けにパッケージングされた製品が購入可能です。
セキュリティシール

サンワサプライなど大手メーカーでは、さまざまな改ざん防止シールが販売されている

 とはいえ、開封済みのものを偽装する目的でシールを購入なんてことはないようにお願いします。<文/板倉正道>
テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク
1
2
おすすめ記事