エンタメ

麒麟・川島がゲームに熱中した少年時代「僕の人生にはファミコンが必要だった」

『ニンテンドー クラシックミニ スーパーファミコン』『プレイステーションクラシック』など、現在の30~50代が思春期に熱中した据え置きゲーム機が続々“ミニ化”して復刻が続いている。そんなゲームの“クラシックブーム”の流れのなかで、あのお笑いコンビ「麒麟」川島明さんが、80~90年代のゲームソフトを中心に思い出を綴ったエッセイ『ぼくをつくった50のゲームたち』(文藝春秋刊)を9月16日に発表した。  文字通り、川島さんを形成したドラクエ、ダビスタ、ストII……。ゲームに熱中した中年世代は思わず「あったあった!」と唸りたくなるエピソードが満載。そこで今回は、川島さんに描ききれなかった部分についてインタビューを行った!

ゲームに偏見を持つ親に「頭も良くなるよ!」と説得しました

――まず、第一話の『エキサイトバイク』(任天堂)で、川島家は“1年間に1本しかソフトは買えない”のくだりがありました。ゲームに厳しい家庭だったのでしょうか? 川島 ファミコンが発売された当時、世間の親世代はまだ「頭が悪くなるのでは?」と懐疑的で、川島家でも1年に1本ルールがなんとなく採用されていました。著書でも書いていますが「ドラゴンクエスト」(スクエア)も最初は買ってもらえなくて。友達の家でプレイを見させてもらって、自宅でノートに模写するという“妄想でプレイする”というスタイルでしたから(笑)。 ――かなり厳選して、1本を買う、と。 川島 本当は誕生日にもソフトは欲しいし、お年玉でも買いたい。1年1本ルールを破るために、兄貴と共に両親を説得していました。例えば『桃太郎電鉄』(ハドソン)ならば、「同じクラスの○○君は桃鉄で日本地図を覚えたらしいよ」とか。『信長の野望』(コーエー)ならば「あのゲームで歴史のテストの点数が上がったらしい、すごくない?」とか。もう必死で説得。芸人としてプレゼン能力も、あの説得で培われたと思いますね(笑)。 ――ゲームが自分の能力を上げた、と(笑)。 川島 実際に、「ダービースタリオン」(アスキー)は僕の競馬知識の基礎を築いたのは間違いありません。これまでの鞭を打つだけのアクションゲームではなく、ダビスタは馬の“血統”が重要な育成シュミレーションゲーム。大人になった現在の競馬予想でも、「ナスルーラの血筋だから気性が粗いんちゃうか?」「プリンスリーギフトだから短距離ちゃうか……」など考えるようになりましたもん。あのゲームで競馬好きになり、競馬のキャスター仕事に繋がっていますから。 ――なるほど。 川島 ゲームで得た知識で、“会話を繋ぐ”こともある。例えば『実況パワフルプロ野球』(KONAMI)なんて、僕は94~96しかプレイしていない。でも、その当時の選手情報は詳しいんですよ(笑)。ヤクルトスワローズに“凄いシンカーを投げる高津”という選手がいることは知っていたから、スワローズ好きの先輩に「いやぁ~、あの当時の高津のシンカー、エグかったすね!」なんて話して、「おお~、川島、お前知っているか!」なんて盛り上がったり。 『ウイニングイレブン』(KONAMI)もそうで、イングランド代表にオーウェン、アルゼンチン代表のカニーヒア、オランダ代表のクライフがとにかく強かった。ババンギダなんて脚が早かったでしょ? そんなゲームで得た浅い知識ながら、サッカーファンの先輩に「今めっちゃサッカー好きです、クライフってまだ代表いるんですか?」なんて言ったら、「もう監督すら辞めてるわ!」と怒られたり(笑)。でも、サッカーの基礎知識はウイイレで覚えて、相手の話していることもわかるんです。ゲームと現実がリンクすることは結構多いですよね。 ――ゲーム発で現実のものも好きになる、ありますね。 川島 『ファイヤープロレスリング』(スパイク・チュンソフト)もそうで、学生時代に大ハマり。“冴刃明”って前田日明という現実の選手だったのか!と興味が出てきて、現実の全日、FMW、リングスなどにハマっていった感じです。 ――PS4版「ファイヤープロレスリング ワールド」では本物の実名選手も数多く出ましたね。 川島 それがねぇ……。グっとこないんですよ。もちろん実名登場は嬉しいんですが、やっぱりビクトリー武蔵、スーパー・カイザーのような“パチモノ感”にどうしても惹かれる自分がいますね。当時を美化しちゃっているのかな? あの際どさがドキドキしました。画像が粗いのも、逆にプレイに集中できたというか。  今思えば、パチもんが横行した時代だった気がします。ロッテのパクリで“ロッチ”のビックリマンシールとか。ある意味で、その異物混入すら楽しかった時代でしたね。 ――“ロッチ”のシールは、現在高額で取り引きされていまもんね。 川島 あと“パチモノ”といえば高橋名人の話も思い出深い。当時、名人は16連射の神業で子どもたちにとって国民的英雄でした。  近所の靴屋が、「購入者には高橋名人のサインをプレゼント!」とキャンペーンをはじめた。そのサイン、どう見ても印刷なんですよ。でも、欲しいから親に強請りましたもん。諦めて学校に行ったら同級生が「高橋名人のサインを貰った!」って、どう見ても自分の手書きのサインが描いてあったり……。現代にあんなパチモノを出したら、それこそツイッターに晒されて大炎上ですよ。  でも、当時は子供らが家や公園に集まって、あのパチモノにワクワクして「騙された~、最悪。隣街には本物があるらしいぞ。行くぞ!」ぐらいの気持ちで探索したのも楽しかったです。
次のページ
ゲーム発の喧嘩で、兄貴に矢を撃たれた
1
2
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート