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皇位継承を論じる際には、歴史に学ぶ姿勢が何よりも重要である/倉山満

男系継承は女性差別ではない。むしろ逆で、男系継承とは、男性排除の原理なのである

言論ストロングスタイル そもそも、なぜ男系継承なのか。女性差別なのではないかとの誤解もあるようだが、まったく逆である。男系継承とは、男性排除の原理なのである。図を見れば一目瞭然だ。平安時代、藤原氏は皇室の外戚として、三百年に渡り権勢を誇った。しかし、皇室に入り込むことは遂にできなかった。藤原氏の女は、天皇の后として皇室に入り、天皇の母となれた。一方で、藤原氏の男は一人の例外もなく皇族にはなれなかった。男系継承の歴史が盾となっていたので、藤原氏は外戚にしかなれなかった。もし男系継承の原則を変えるなら摂関政治などという面倒なことはしなくてよかった。  我が国の歴史において、臣下の男が生きて皇族となった例は一例もない。唯一の例外が、死後に法皇の尊号を贈られた足利義満だけである。義満は皇位を窺ったとされるが、もし男系継承の原則が無ければ、内親王と結婚し、子供を天皇にすればよかった。五世の孫の原則が無ければ、義満自身が清和天皇の男系子孫として天皇になれた。  先例は、皇室を時の権力者から守る盾なのだ。  一部には、女性天皇制度を導入して「愛子天皇」を実現したいともくろむ者がいる。女帝は八方十代の先例があるが、悠仁親王がおわすのに何のために? 秋篠宮家に直系が移るのを阻止したいのか? いまさら古代の争乱や南北朝の動乱を再現したいのか。  政府は先例に学び歴史を守り、国民に理解が得られる結論を導き出してほしい。  菅内閣は初めて「旧皇族の皇籍復帰」を論点に入れたが、画期的だ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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