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なぜ文春砲だけが特別なのか。元編集長が明かす秘密組織の実態 

最強と言われるほど怖い あっという間に国民の敵に

 1990年初頭、文春の黄金期は長くは続かなかった――。 「当時は、テレビ局のプロデューサーが文春の編集部に集まって、発売前の見本誌を見ながら、『これをうちの番組でやらしてください』って、直接交渉していました。ここはテレビ局かと思うぐらいでした。  でも、すぐに日本中が文春の敵になりました。1993年の皇室批判キャンペーンです。社長宅が右翼に銃撃もされました。翌年の『JR東日本に巣くう妖怪』の記事ではJR東日本のキオスクから文春が撤去され、そして、1995年には花田編集長が会社を去る契機となったマルコポーロ事件と立て続けに起きました。  文春は新聞やテレビには対抗できるような大きな組織ではない。基本はゲリラなんです。後輩たちのがんばりには感心するばかりですが、最強、最強ともてはやされるときこそ心配しています」

“文春砲”は知っていても、文春は知らない

 文春砲ばかりが注目を浴びるなか、各世代によって“文春”のイメージは大きく変わってきている。 kimta04「私が教えている岐阜女子大学は、大半の学生は卒業したら教員や幼稚園の先生になりますが、アンケートで好きなメディアを書いてもらうと、ユーチューブばかりです。  彼女たちは“文春砲”は知っているのに週刊文春は知らない。『文春は“春”という字が入っているから、エロ本だと思っていました』とも言われました。一冊読んでもらえれば、林真理子さん、阿川佐和子さんの連載などもあり、文春のことをちゃんと知ってもらえるのですが……。  私たちが守ってきた文春のイメージと世間が抱いているイメージは全然違うんです。ネットでは政治家のスクープより、芸能人のスキャンダルのほうがPVはいいでしょう。でもスキャンダル報道に走れば、文春を応援してくれている定期購読者は減ってしまう傾向にあります。カメラマンがせっかく撮ってきたからと、掲載したくなる気持ちは私もよくわかります。しかし、この記事で『誰が救われるのか?』ということが、これまでになく問われる時代になっています」  いまや国民的“ペン”となった文春砲。どこに向けられるのか、みなが気になるのは仕方ないのだろう――。 kimata05<取材・文/村田孔明 撮影/Yamano Kazuma>
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