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明暗わかれる欧州のワクチン事情。不正接種問題や再びロックダウンも

ロシア製ワクチンに対する“国民的アレルギー”

vaccine

ワクチン接種について報じる欧米の記事

 そして、一番の問題と言えるのが、いまだに根強い「反ワクチン」論者だ。 「ネットで詳しく調べましたが、ワクチンの中には人体に有毒な物質も含まれています。コロナが陰謀だとは思いませんが、本来、何年もかけて作られるワクチンが、これだけ駆け足で配布されるのは危険です!」(ポーランド人・30代・女性)  こうした、いわゆる「ワクチンは危険」や「製薬会社が〜」といったアンチワクチンにありがちな言説だけでなく、複雑な国民感情がここに加わるため話がややこしくなる。  ポーランドではファイザー製、モデルナ製のワクチンが主流だが、ロシアのワクチン「スプートニクⅤ」の導入も検討されていた。現在、ロシアのワクチンは欧米で非常に注目を集めており、当初はその効果が疑問視されたが、WHOのお墨付きを得てからというもの、ドイツからロシアへ「ワクチン・ツアー」が組まれるなど期待と人気が跳ね上がったのである。  だが、これにロシア製のワクチンに対して信用性や効果云々以上に強いのが、欧州に広がる反ロ感情である。 「ロシア製のワクチンなんて、何が入っているかわかったもんじゃありません。都合の悪い情報は何でも隠蔽する国ですよ?絶対打ちたくないです。だいたい、高齢者以外はコロナなんて、かかっても軽症なんだから」(ポーランド人・10代・男性)  グダグダな政府の接種策、我先にとワクチンを求める人々の狂騒、そして反ワクチン論者たち……。日本でも起こりうるケースなだけに、同じ轍は踏まないでいただきたいものだ。

日本で検討中のアストラゼネカは接種中止に

 いっぽう、同じ欧州でも北欧諸国では事情が異なる。当初、集団免疫の獲得を目指したものの死者が続出し、国王が「失敗だった」と認める事態にまで発展したスウェーデンを除いては、いずれもロックダウンが導入された。 「アストラゼネカのワクチン接種が中止になってしまいましたが、高齢者を皮切りに接種は順調に進んでいます。私の両親も、ファイザーのワクチンを接種して、今は2回目の接種を待っているところです。他の国と同じように『反ワクチン』を掲げる人もいるようですが、ニュースではほとんど目にしませんし、私の周りでもそういう主張をする人には会ったことがありません」(ノルウェー人・30代・女性)  アストラゼネカ製のワクチンは現在、厚労省で薬事承認の審査中だが、ノルウェーやデンマークでは使用が取りやめられている。日本での承認がどうなるかは未定だが、ドイツではメルケル首相が同社のワクチンを接種するなど、欧州でも賛否が割れているようだ。  また、同じく北欧のデンマークでも大きな混乱は起きていないという。 「ロックダウンも他のヨーロッパの国に比べたら緩かったような気がします。公共交通機関のマスク着用も遅かったですし。今のところワクチンも順調に接種が進んでいるので、9月には日本かメキシコに旅行に行こうかと計画してますよ!」(デンマーク人・30代・女性)  ワクチン接種によってこれまでのように旅行ができる日が来るのは一体いつなのか。欧州ではある程度の目処はつき始めているが、日本の状況はまだまだ。一日も早く元の生活に戻ることができればと願うばかりだ。
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不正接種が横行するイタリア
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