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はっきり言う。菅さん、小池百合子に負け続けで悔しくないのか?/倉山満

世界の首脳の中で真っ先にバイデンと会談した菅義偉首相

む菅義偉首相

4月16日、ジョー・バイデン米大統領(左)との会談に臨む菅義偉首相。日米共同声明では台湾についても言及するなど、中国への強硬姿勢をアメリカとともに示した形だ 写真/時事通信社

 政治家を褒めるのは最もリスクがある言論なのだが、叩くだけなら素人でもできる。世間に向かって政治の話をする時点で玄人と呼ぶならば、自己の言論に責任をもって褒めるべきは褒めるべきであろう。もちろん、御用言論であってはならないが。  今回ばかりは手放しで褒めることができると思ったが、世の中そう上手くもいかない。是々非々で論じるしかない。  先に称揚すべき点である。菅義偉首相はジョー・バイデン米国大統領と会談し、共同声明を発表した。コロナ禍にもかかわらず、世界の首脳の中で真っ先にバイデンと会談し、日米同盟の強固さを訴えた。共同声明の内容も、中国との対峙を明言し、香港やウイグルでの人権弾圧も非難、言うべきことを言っている。  軍事抜きの外交としては、到達できる最高点数ではなかろうか。  ここで注目すべき人物を一人挙げておく。今回の菅首相の訪米に随行した阿達雅志補佐官だ。阿達補佐官は外交の世界では、知る人ぞ知る人物だ。参議院議員で当選2回。通常、首相補佐官が外遊に同行することはないので、この一事でも異例だ。  安倍晋三前内閣はドナルド・トランプ前大統領との協調関係の構築に成功したが、それには菅官房長官(当時)の進言が大きかったし、この動きの黒子として阿達参議院議員の存在を指摘するプロも少なくない。  菅外交は常道を歩んでおり、あまり心配はしていない。軍事力抜きの外交としては、との留保がつくが。

アメリカの対中国施策に乗っかった日本

 バイデン政権は、中国との対決に舵を切っている。これに日本は真っ先に加勢した格好だ。ならば、中国にかける圧力に、裏付けを持たせねばならない。外交における裏付けとは、何をさておいても軍事力だ。コロナ禍をいち早く抜け出し、経済成長を軌道に乗せつつある中国は、近い将来にアメリカの覇権を奪おうと虎視眈々だ。  それに対しアメリカは許すまじと包囲網を構築しようとしている。では、日本は軍事力を増やす努力をしなければ何もできない。期待は裏切ったらゼロになるのではなく、倍のマイナスになる。  戦いの準備をすることと本当に戦いをすることはまったく別だ。本当に戦いたくない、あるいは戦わずして屈服したくないなら、軍事力を持って対抗しなければならないのが国際社会の掟だ。覚悟も力も無い者の言葉など、無力だからだ。  戦いの準備をするとは、防衛費を増やすことだ。アメリカのトランプ前政権は日本に「GDPの2%は防衛費をかけろ」と要求してきた。ロシアとの慢性的な対立に悩むウクライナなどは7%だ。この2%とは、文明国として最低限の基準だ。
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防衛費を増やすためには景気回復がマスト
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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