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政商・竹中平蔵は日本をどう壊したのか?<ノンフィクション作家・森功氏>

―[月刊日本]―

35年間の規制緩和と民営化がもたらしたもの

自民党―― 日本では貧困・格差が深刻化していますが、その背景には非正規雇用の拡大があると思います。森さんは『日本を壊す政商』(文藝春秋)で、人材派遣会社パソナグループ創業者の南部靖之氏や同会長の竹中平蔵氏が政治に与えた影響を指摘しています。 森功氏(以下、森) 中曽根政権以降、日本でも規制緩和と公共事業の民営化が進められてきました。当時は規制緩和・民営化の「光」ばかりが強調されましたが、現在ではその「闇」が覆い隠せなくなっていると思います。  まず、規制緩和は労働者の権利を破壊しました。「労働の自由化」「多様な働き方」というスローガンのもとで労働規制がどんどん緩和され、労働権が十分に守られない非正規労働者が大量に生まれました。  また、民営化は社会を脆弱化しました。国鉄民営化では国鉄労組と社会党が潰され、労働組合やその支援をうける野党が一気に弱体化しました。地方も切り捨てられ、北海道・四国・九州では赤字路線の撤廃によって交通インフラが衰退しています。  すでに非正規労働者を中心とする貧困・格差、地方の衰退は目も当てられない状況です。87年の国鉄民営化から35年が経ちますが、これまでの規制緩和と民営化を根本から見直すべき時が来ています。

企業の意向に合わせて改悪されてきた労働法制

―― 森さんは特に労働規制緩和を問題視しています。  貧困・格差を是正する上で最も大切なことは、労働者の権利をいかに守るかということです。しかし過去数十年にわたって労働法制は企業の意向に合わせて改悪されてきました。その象徴が、労働者派遣法です。  戦後、労働者派遣業は「口入れ業」としてなかば公認されていましたが、法的には長らく禁止されていました。その転機になったのが、第二次中曽根政権のもとで成立した労働者派遣法です。派遣法は1985年6月に成立、翌86年10月に施行されましたが、これによって労働者派遣が初めて合法化されたのです。ただし、派遣が認められる業種は秘書やタイピストなど専門性が高く、労働者の立場の強い13業種に限定されていました。  しかし、その後も派遣労働の規制はどんどん緩和されました。2004年には小泉政権のもとで、ついに製造業での派遣が認められ、単純労働者の派遣が解禁されました。この法改正により、専門性が低く、立場の弱い派遣労働者が爆発的に増えていったのです。 ―― 第二次安倍政権でも派遣法は何度か改正され、18年の改正では「同一賃金同一労働」が掲げられました。  その理念自体は間違っていませんが、現実には正規と非正規の格差が大きすぎます。この状況で「同一賃金同一労働」を導入しても、正規の待遇が引き下げられるだけです。18年の法改正も、結果的には労働者全体の権利が守られない方向に進んだと思います。  中曽根政権以来、労働組合や野党、労働規制など、労働者の権利を守る存在がどんどん失われていきました。その結果、自民党は安い労働力を求める企業の意向に従って労働法制の改悪を繰り返してきたのです。しかし、そもそも労働法制は企業の利益ではなく、労働者の権利を守るためのものです。労働法制を本来の在り方に戻さない限り、現在の流れを止めることはできません。
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パソナ会長・竹中平蔵の「我田引水」
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【特集1】貧困・格差が国を亡ぼす!
【特集2】今こそ「属国政治」に終止符を打て!

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