スポーツ

東京五輪開催へ…前哨戦で明らかになった「有観客と無観客の違い」

「感謝」の気持ちがあふれていた試合会場

 とにかく場内には「感謝」の気持ちが満ちています。こういう状況のなかで大会を開催してくれた関係者、こういう状況のなかで来日をしてくれたポルトガル代表、こういう状況のなかで集まってくれた観衆、お互いがお互いに対する感謝の気持ちを持って向きあっています。  練習から笑顔いっぱいのポルトガル代表の姿は、ワクチン接種がヨーロッパほどには進んでいない日本での国際試合を警戒するといった様子ではなく、万難を排して貴重な機会を作ってもらえたことへの喜びがあふれていました。観衆に手を振り、笑顔を見せてくれます。
ポルトガル代表

和気藹々のポルトガル代表

 そうした姿は単純に親しみがわくものですし、場内に流れるポルトガルの国歌であったり、日本代表に比べて大型の体格であったり、体格とパワーでゴリ押してくるようなプレースタイルであったりと、日本との違いを感じることで相手への興味や関心がかき立てられます。  対戦を通じて、よく知らない異国の人という存在から、同じ時間を過ごした仲間へと変わっていく。それはまさに五輪や国際試合の素晴らしさだなと思います。

五輪本番への期待感が高まる白熱した試合

 試合は五輪直前らしい白熱したもの。特に、最終メンバー入りを懸けてチーム内での争いがつづく日本代表側は、目の色が違います。  キャプテンでセンターのポジションに入る高田真希選手、フォワードの赤穂ひまわり選手・長岡萌映子選手を中心に、各ポジションのメンバーを替えながら「選考争い」という戦いもコート上で展開。  特にガードについてはサバイバルといった激戦がつづいていますが、この試合で先発したポイントガードの町田瑠唯選手は、選考争いから一歩抜け出すような大活躍でした。
町田瑠唯選手

ポイントガードの主軸争いでアピールした町田瑠唯選手

 素早いドライブと、チーム最多の9アシストを決める巧みなゲームメイク、機を見て自ら得点を奪いにいく自在の動きで、町田選手が入るとゲーム全体が日本の流れとなるかのよう。  ポルトガルは身長・体重で大きく日本を上回り、ゴール下の争いでは押し負けるような場面もしばしば見られますが、そうしたパワーでのプレーをしてくる相手を翻弄とする小気味いいプレーは、本番に向けても期待感高まるものでした。
赤穂ひまわり選手

エース級の存在感を見せた赤穂ひまわり選手

次のページ
ヘッドコーチによる挨拶で語られたこと
1
2
3
4
5
6
おすすめ記事