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パチンコ業界が警察への忖度をやめた裏事情。きっかけは東京五輪開催

半導体不足と供給の遅れ

 だが、ホール側も1台50万円もするような新機種をそう簡単に購入できず、本当に前評判が良い機種以外は買い控えているのが現実だ。結果、売れる機種しか売れないというのが状況もあるが、世界的な半導体不足もあってメーカー側も注文全てに応えられないという切実な問題もある。導入後も評価が落ちない黄金騎士シリーズ最新作などは需要に対し供給が圧倒的に足りず、結果として中古価格が新台価格の4倍以上に高騰する事態にもなっている。  それでも事業を継続するためには現段階で残っている旧規則機に近い台数の新規則機が必要になるだけに、ホール側としては予算が許す限りの新機種を買い、供給する立場のメーカー側もそれに応えるべく新機種数を用意しなければならない。そのためには今から徐々にでも入れ替えをしていかなければならず、入替自粛として行政へ協力している場合ではないということだ。  ただコロナ禍以降、人との接触機会を減らしたい(設置期限の1年延長の目的でもある)として入れ替え時の警察検査において担当官の目視を求めず、書類だけ提出すれば良いという所轄も増えている。事務処理は必要だがわざわざホールへ足を運ぶ手間がなくなった以上、もはや国家的イベントでも入替自粛など忖度する必要がないという判断もあったのではないかと邪推をしたくなるのは筆者だけではないだろう。

忖度すらできない懐事情

 もともと検査といっても単に製造番号をチェックするだけで、かつて違法改造されたパチスロの裏モノなどを平気でスルーしていたのが警察検査だ。数年前のパチンコにおけるクギ曲げ問題ではゲージ棒(今は建前上、行われていないとされるクギ調整で使う道具)を持ってきた担当官もいたというが、そんなやる気のある担当官は極めて少数派であり、そういう担当官がいたというのが遠く離れた地域のホール関係者の間で噂話になるほど。  ちなみにだが、入替自粛はあくまで「自粛」であり、行政側から要請されることは一切ないという。何度も使って恐縮な言葉だが、つまりは「忖度」であり、行政に対しては積極的に協力してきた業界の慣例。それさえも踏襲できなくなっているくらいに追い込まれているのが、今の業界なのだろう。 <取材・文/キム・ラモーン>
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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