より高性能のマスクを付けよう
COVID-19パンデミックでは感染症防御に非常に効果が大きいものとして次がきわめて強く推奨されます。防疫のイロハのイであり、最優先の社会の責務である検査と隔離を筆頭に優先順に示します。
1) 検査・追跡・隔離
2) 社会的距離の確保
3) 屋内の換気
4) 高性能マスクの着用
5) ワクチン接種
N95や、KF94のような高性能レスピレータ(高性能マスク)は、90〜95%程度の感染抑制効果があり、二重マスク化した不織布マスクもそれに準ずる80〜90%程度の感染抑制効果があります。
第一世代COVID-19ワクチンは、感染抑制を開発目的に入れていません。またδ株に対しては、30〜70%程度の感染抑制効果しかありません。但し、重症化回避と死亡回避には80〜90%とたいへんに高い有効性を持っています。打っておけばとにかく死ぬことは避けられます。
従って個々人の感染抑制には、社会的距離の確保が最も重要であり、換気を組み合わせることで相当程度感染防止できますが、COVID-19は、エアロゾルによって空気感染しますので*、煙草やお線香の煙のように長時間空中浮遊する粒子を遮蔽する為にとくに屋内では、高性能マスクが必須となります。ここが非常に重要なところです。飛沫対策では全く不十分です。
<*
新型コロナはエアロゾル感染するか? 確定的な結論はまだないが、予防原則をもとに先見的対策を! 2020/04/25 井田真人 ハーバー・ビジネス・オンライン>
しかしマスクは7days24hours(常時)着用できません。就寝時は外しますし、ものを食べるときも外します。ものを食べるときのマスクパカパカ(マスク外食)を本邦政府は推奨していますが、非科学的且つ極めて危険な行為で有害無益かつきわめて愚かです。従ってマスクは、社会的距離と換気を補完する位置づけとなります。
社会的距離は、個々人で注意していても破綻することはままあります。またエアロゾル感染するために人が居なくてもウイルスが空中を漂っている可能性も十分にあります。従ってここは高性能マスクの出番です。
国内では豊橋技科大の研究結果*、世界的には合衆国疾病予防管理センター(CDC)が公表しているように**、COVID-19感染対策には最低限不織布マスクが必要で、密着性改善のために不織布マスクの上からマスク押さえや布マスクで押さえつける二重マスクが強く推奨されています。
<*
データから見るマスクの効果 豊橋技科大学>
<**
Your Guide to Masks CDC 2021/08/13>
そしてN95マスクは医療用資源として一般には使わないように求められています。
マウスシールド、フェイスシールド、ウレタンマスク(スポンジマスク)は防御能力が皆無と言って良く、使ってはいけません。
無意味です。布マスクもエアロゾルに対する防御能力が殆ど無いため、使うべきではありません。
筆者は、
二重マスク(不織布マスクの上から布マスク等で押さえる)、KF94、KN95マスクを強く推奨しています。先ずはお手軽マスク強化法を
CDCの記事から要約します。
残暑はまだまだ続く、KF94で快適・安全マスクライフ
お手軽マスクアップグレイドには、不織布マスクの上から使い道のなくなった布やウレタンマスクで押さえつける二重マスクが良いです。しかしマスクを着用していると呼吸が暑苦しく、とくに二重マスクは顔に張り付くために汗でマスクが駄目になります。
N95やKF94を含む不織布製マスクは絶対に濡らしてはいけない、濡らしたら捨てるほかないので、残暑厳しいこの季節、不織布マスクは使いにくいです。
筆者は、
KF94マスクを強く推奨しています。KF94は、Korean Filter 94の略で、韓国での医療・一般用高性能マスクです。もともと韓流ファンが導入していましたが、とても装着感が良く、快適且つ高性能なので筆者も今年3月から推奨しています。また、昨年春のマスク危機の際、日本医師会へ12万枚が中国より寄贈されたこと*でも知られています。
<*
新型コロナウイルス感染症の防疫に資する高機能マスクの譲渡式を挙行2020/04/05日医on-line>
筆者はいろいろ試してみましたが、装着した状態での軽作業が連続100分程度可能で、30分で息が苦しくなってしまうN95やKN95よりもずっと楽です。
価格も韓国製の
MFDS(食品医薬品安全処)許可品で一枚35円程度とお手軽で、汚損・破損しない限り1日使えます。一方で不織布マスクは、長くても四時間程度で要交換です。
またKF94は、顔に張り付かないので、口元に空間があり、呼気が涼しく、肌荒れしにくいです。このため、はじめはお化粧が崩れないとして、女性の間で流行っていました。
但し、KF94と称していてもMFDS許可品でない、KF94類似品が多くあり、これらは1枚20円程度と安いのですが、KN95の生地を流用するなどで呼吸がやや苦しく、また品質保証に難があります。韓国規格であるKF94は、MFDSによって厳しく監督されており、規格逸脱品には回収命令が実際出されていますし、偽物の製造販売には罰金が課されています。
韓国規格のKF94は下記の特徴があり、逸脱しているものはKF94規格準拠ではありません。
1)韓国製である(Made in Korea)
2)MFDS許可品の表示が必ずある
3)一枚一枚個別包装(個包装)である
KF94には、これら3つの条件を同時に満たしている必要があります。筆者が使っているKF94の写真を例示します。比較的珍しいブランドで、他にも沢山のKF94があります。実は筆者の使っているKF94は、使っている人が日本には殆どおらず、筆者はハングルが読めないので画像検索を駆使して調べたところ
MFDSの許可記録を見つけホッとしました。
KF94のパッケージ表面と裏面(ナノテクマスク)。このような袋に一枚ずつ密封されている。基本ハングルだが、日本向けに日本語表記も出てきたと聞く。表面、裏面共に左上に注目(筆者撮影)
KF94は、必ずこの文字がパッケージに書かれている。書かれていないのは規格外の類似品である。「医薬部外品」、「MFDS許可」と書いてある(筆者撮影)
KF94は、N95にやや劣りますが、N95などのレスピレーター(呼吸器)と同様に着用者を守るために設計されており、着用後に
ユーザーシールチェックを行えば一般の実用上は十分な性能を発揮します。
息苦しさもあまりなく、エアロゾル対策マスクなのに呼気が涼しくかなり快適と言えて、一度使うともう他のマスクに戻れません。
なお、
二重マスクやKF94、KN95であっても100%安全という事ではなく、あくまでウイルスが透過する確率を大きく下げるものです。δ株は、患者からのウイルス放出が在来株の数万倍ともされており、マスクだけでは危険です。マスクは、あくまで社会的距離の確保と換気を補完するものです。