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借金500万円男。自分への誕生日プレゼントは「ホームレス生活とサヨナラ」

オリンピックで安宿が……

 腐っても誕生日、せめて自分史に爪痕くらいは残しておきたい。どれだけ人生に失望したとしても、一人でいる以上誕生日を完全に忘れてしまう人間なんて存在しない。僕の周りで本当に誕生日を忘れてしまうのは、子供が受験期に入った母親くらいだ。  いや、もしかしたらあの頃の母親も余計な気を遣わせないようにその存在感を消し、家族が寝静まった頃に一人でHappy Birthday To Meを歌っていたかもしれない。そんなわけで、少なからず20代で誕生日に心が何一つ動かない人間はいないとしよう。僕もまたその事実を受け入れる。  5月にホームレスになった僕は、日雇いのアルバイトをしながらホテルや友達の家を転々としていたのだが、オリンピックの開催に伴って簡単に居場所を探せなくなっていた。最初の方は一泊2000円ほどで一人部屋に止まることができたのだが、底辺層に向けた宿泊ビジネスは水面下で徐々に値段を上げていき、最早この生活が身軽で得をしているのかどうか、わからなくなってきた。

家を借りる決意をする

 複数人が同じ部屋に月3万円で泊まれるようなカプセルホテル、ベッドルームだけをそれぞれの部屋として他の設備は全て他人と共用になるシェアハウス。かつては自分も池袋にある月4万円のシェアハウスで暮らしていた人間なので暮らし方はわかる。  ちなみにそこでのコミュニティはネズミ講ビジネスの参入により分解されてしまった。騙されるのはいつも底辺で、手を汚すのも底辺だ。なまじ泥水の中に手を突っ込む経験をしてきたせいで、未来までもその泥の底に沈んでいると錯覚してしまうのだ。  というか正直疲れていた。まだ20代とは言え、ギリギリ20代だ。自分の中での高校生活は記憶に新しいが、実際に街を歩いていると彼らからの「おじさんがいる」という目線が確かに存在する。その自覚を持ったままシェアハウスで見ず知らずの若者と生活するのが辛いと思ってしまう。大学生活に馴染めなかった部活のOBが頻繁にコーチ面で遊びにやってくる様子を思い出す。  家を借りよう。  たった一人で行った賃貸ストライキは、「自分への誕生日プレゼント」という言い訳と共に終わりを告げた。
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