更新日:2021年10月07日 13:54
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高性能マスク着用の理由は、「空気感染」が世界の常識。またしても立ち遅れる日本

KF94

「咳エチケット」だけでは防御できない

 前回、本サイトにて高性能マスクの重要性をご紹介する記事*が大きな反響を頂きました。 <**ウレタンマスクは「無意味」! 科学者が教える「本当に効果的なマスク」 2021/08/31 牧田寛 日刊SPA!>  しかしその反響の中に、咳エチケットで十分とか、韓国のマスクの売り込みだなどと言った見当違いのものが散見されましたので、何故高性能マスクが必要なのか踏み込んだ説明が必要と考えました。  なお、韓国規格のKF94マスクは、その類似品が本邦でも大手電機メーカーなどで製造・販売されはじめています。それ自体はたいへんに好ましいことなのですが、マスクの性能を保証する規格が本邦では漸く整備されはじめましたが貧弱で、日本版KF94類似品の性能を担保する公的なものが存在しません。N95マスクの例で明らかですが、公的規格による裏付けと偽物防止はきわめて重要です。日本政府が韓国政府と規格の共通化に関する協定を結び相互承認すればよいことです。工業製品では、普通に行われていることです。  韓国でも人気ブランドのKF94マスクの需要増大や工場の火事、チュソク(韓国のお盆)などで供給が不安定となっており、供給の安定化という視点からも日韓で共同する利点は大きいと筆者は考えます。また中国で大量に生産されている詳細不詳の高性能マスクに対して日韓で公的規格の裏付けのあるKF94など高性能マスクによってシェア奪還することも可能です。

COVID-19の感染ルートは「空気感染」

 COVID-19は、かつてのSARSやMERSと異なり全世界を巻き込むパンデミックとなり科学、社会、医療の進歩によって相当程度抑えられていますが、1918 Flu Pandemic(スペインかぜ)を上回る激甚なパンデミックとなり得る脅威です。  COVID-19の感染経路は、従前から主張されている「飛沫感染」に加え、「空気感染」(Airborne Transmission:経空感染という訳もある)であるというのが本邦以外の全世界の常識です。この「空気感染」は政治論争的な用語となってしまい、昨年2月には空気感染の可能性が高いと中国から報告がなされていましたが、「空気感染するのは麻疹や結核、水疱瘡だけである」という典型的な教条主義の跋扈する医学界に拒絶され、空気感染を主張する科学界との論争となっていました。  合衆国疾病予防管理センター(CDC)は、2020年9月18日にCOVID-19はAirborne Transmission(空気感染、経空感染)するという文書*を公開したものの、下書きであったとして取り下げ、トランプ大統領がCOVID-19に感染し入院するなどホワイトハウスが大混乱していた2020年10月5日に” COVID-19 can sometimes be spread by airborne transmission”と明記した文書を公開しました**。 <*How Coronavirus Spreads 2020/09/18 CDC> <**How Coronavirus Spreads 2020/10/05 CDC>、CDCによるガイダンス”How Coronavirus Spreads”の変遷はこちらのアーカイブからたどることが出来る。>  政治性の濃厚な「空気感染」論争は、この時点で「COVID-19は、空気感染をする」と決着が付いたと言えますが、世界保険機関(WHO)が”Airborne Transmission”を事実上認めるのは、Q&Aで”aerosols”を明記した2021/4/30*と大きく遅れました。 <*Coronavirus disease (COVID-19): How is it transmitted?>  本邦では未だに「空気感染」「経空感染」「エアロゾル感染」といった新知見を認めず、これも厚労省と忖度専門家による国策エセ科学・エセ医療デマゴギーの一つとして本邦の防疫政策を著しく歪めています*。 <*尾身氏「空気感染は起きていない」現時点での専門家の“見立て”2021/05/21 THE PAGE>  昨年秋に突然現れた「まいくろひまつかんせん」という言葉はマイナーな言葉で、CDCが認めたエアロゾル感染を国策エセ科学・エセ医療デマゴギーとして言い換えるために用いたものですが、事実と大きく異なるものです。マスク会食という狂気の沙汰を正当化する詭弁にも用いられています。煙草の煙の中でマスクパカパカすれば煙を吸い込みます。ウイルスを含むエアロゾルも同様です。  なお筆者は、空気感染という用語はあまり科学的に妥当性がなく、「経空感染」を主として用いています。この用語は今後で良いので学術的に再定義すべきと筆者は考えます。  日本を除く世界では、空気感染を前提にCOVID-19感染対策が組み立てられる様になっており、本邦の著しい後進性がここでも目立つようになっています*。 <*最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明 2021/08/18
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エアロゾルとは何ぞや?
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まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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