仕事

「変化を嫌う、職場の老害」が生まれるワケ。仕事が“10倍効率化”しても不機嫌に

業務改善に大事なのは“伝え方”

元山文菜

元山氏の仕事用ノート(本人提供)

――そうした反対がある中で、業務改善に踏み切るためのコツなどはありますか。 元山:我々は経営者の承認を得て業務改善に入っているため、ほとんどの場合は最終的に受け入れていただけます。だからこそ、まずは経営層(リーダー)の覚悟が必要です。そのうえで現場で業務改善を進めていくには、「なぜ変わらなければいけないのか?」を相手にあわせて伝えることが大切です。  業務改善に反対して、現状を維持しようと変化に抵抗するのは、今よりも期待値の高い選択肢を知らないからの場合も多いです。そこで、「業務改善で損をする」という発想から「業務改善したほうが得である」に発想を転換してもらう必要があります。つまり、「今よりもよくなるはずだ」「変化しないことのほうがリスクだ」と思えるような情報を収集して伝えます。 「あなたの経験をいかして〇〇の仕事を任せたい」「そのために残業時間を減らして、自己研鑽に充ててほしい」のようなイメージです。「自分の居場所が失われる」というぼんやりした不安がある場合、プラスアルファを身につけ、その人にだからこそ頼みたい仕事があると伝えることで前向きに考えてもらいやすいです。  また、多様な視点や経験をして視野を広げてもらうのもひとつです。たとえば、同じ業界の他社の働き方を見学に行ったり、セミナーを聞くなどでも良いかもしれません。「競合他社が新しいシステムで効率化を進めている」「このままでは業績に影響が出る」など、現状維持で発生する不利益を感じてもらいます。

ゴール目線で仕事の肥大化を防ぐ

元山文菜

「業務を効率化するための選択肢は多い」と、元山氏(本人提供)

――逆に、必要のない仕事を生まないためにはなにをすべきですか? 元山:現代は大量生産・大量消費の製造業を中心とした「モノ」が中心の工業社会ではありません。サービスや体験を売るなどの知識社会に変化しています。社会が変わり、ビジネスの中心が変化すると、求められる仕事のやり方も変わっていきます。今まで「仕事」とは「与えられたことを正しく遂行する」ことでした。  それが「与えらえた仕事を正しく遂行し、よりよく改善する」ことが求めれるようになり「よりよく改善しながら、新しく創造すること」になっています。「与えられた仕事を正しく遂行する」のはロボットのほうが得意なのです。私たちは、もっとクリエイティブに考える力が必要。そのためには、多様なな知識や経験を身につけなくてはなりません。  ゴール目線で物事を考え、「この仕事は誰のために、なんのためにやっているんだろう」を常に考えれば仕事の肥大化は防げます。そのうえで「今よりもっと良いやり方がある」と気づいた時には先輩や上司に伝える勇気を持ってほしいです。
次のページ
自分の半径5メートルから変えていく
1
2
3
4
副業フリーライターとして2年活動したあと独立。子育ての苦労と楽しさを噛みしめつつ、マンガ趣味の影響で始めた料理にも全力投球している。クルマを走らせながら一人でカラオケするのが休日の楽しみ
記事一覧へ
おすすめ記事