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すき家と「吉野家・松屋」で明暗が分かれる理由。“回転寿司事業”が大きなアドバンテージに

化学メーカーで研究開発を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。 『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回は株式会社ゼンショーホールディングスの業績について紹介したいと思います。 コロナ禍では吉野家や松屋などの競合チェーンが苦戦するなか、「すき家」は好調を維持しました。勢いそのままに今後も規模拡大を狙うゼンショーHD。海外では主力の牛丼ではなく寿司チェーンで攻めており、一方の国内ではバーガーチェーンも買収。ゼンショーHDがコロナ禍で好調を維持した背景や、同社の今後の戦略について探っていきましょう。
すき家

beeboys – stock.adobe.com

すき家が日本一の牛丼屋になるまで

ゼンショーは1982年、工場作業員や肉体労働者をターゲットとした弁当屋「ランチボックス」から事業展開を始めました。しかし多様な食品を作らなければならない弁当屋はコストを圧迫して成功せず、一方で同年から始めた牛丼屋の「すき家」がヒットしました。 当時は既に吉野家や松屋などのチェーンが存在していたものの、国内で出店の余地は多く残されており、すき家は順調に店舗数を拡大し1999年には東証2部に上場しました(2001年に1部上場に鞍替え)。店舗数で見ると、2006年に松屋を抜いて業界2位となり、2008年に吉野家を抜いてからはトップを維持し続けています。

2000年からM&Aを加速

牛丼事業の好調に支えられたゼンショーは2000年にファミレス「ココス」を手掛けるココスジャパンの株式取得を実施して以降、積極的な子会社化や多角展開を進めました。 2002年にはココスジャパンを通じて同じファミレス系であるビッグボーイジャパンの株式を取得。同年には「はま寿司」を設立して回転寿司事業にも参入しました。2005年にはなか卯の株式を取得し、その2年後にはサンデーサン(現:ジョリーパスタ)の株式を取得しています。2008年には和食チェーンである華屋与兵衛の株式を取得しました(なか卯は2010年、ジョリーパスタは2019年、ココスジャパンは2020年に完全子会社化)。 そして2010年代からはスーパーを中心とする小売事業にも注力し、地場スーパーである「マルヤ」や「マルエイ」などを傘下に置いています。売上高を見ると、2010/3期の3,341億円から2020/3期には6,304億円と、10年で倍増しました
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牛丼・ファストフード・海外事業が牽引
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