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「生まれてこなきゃよかった」フィリピン人ハーフの“無国籍女性”が辿った苦しい半生と「日本人男性の悪行」

弱い立場を利用した日本人男性の悪行

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写真はイメージです

 野口氏は、根底にある問題に、フィリピン女性が軽んじられていることを指摘する。 「フィリピン人女性は、ビザの取得や経済的な事情など、日本人男性よりも何倍も弱い立場にあります。それに、日本人男性は奥さんがいるケースが多かったため、初めから真剣な付き合いではなかったのではないかと思われます。『妻と別居してるからいつか君と結婚する。子どもも大事にする』という言葉がどこまで本音だったのか、疑わしい。また、カトリックであるフィリピン人女性は避妊や中絶がタブーとされており、それも利用されているとしたら恐ろしいことです」

フィリピン人女性の出稼ぎは減少傾向に

 フィリピン人女性の出稼ぎは、2004年をピークに減少している。アメリカの国務省が、人身売買の報告書を発表し、日本が性的搾取による外国人女性の人身売買をしていると批判されたのがきっかけとなった。だが、この問題は終わったわけではない。 「20年以上前の出来事であっても、フィリピンで見捨てられた子どもたちの人生は続いている。ここ10年は、成人した子どもが、日本のお父さんを探しに来日したり、ルーツのある日本で働くことを選んだりする人も出てきています。それでも、父親に会えるケースは年に数人程度で、働き先で労働搾取されるなど、別の問題に発展することもあります。また、最近は、日本人男性が留学や仕事のためにフィリピンに来て、子どもができるケースが増えていると聞きます。不遇な思いをするJFCがこれ以上増えないように、これからも考えなくてはなりません」 <取材・文/ツマミ具依> 【野口和恵】 ライター・編集者。日本やフィリピンで子どもを取り巻く問題を取材。「ストリートチルドレンを考える会」共同代表。著書に『日本とフィリピンを生きる子どもたち―ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン』(あけび書房)
企画や体験レポートを好むフリーライター。週1で歌舞伎町のバーに在籍。Twitter:@tsumami_gui_
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