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小野武彦81歳、長女が生まれて「役者を辞めようと決心した」。芸歴58年“名バイプレーヤー”が生まれるまで

演じたいのは「渡さんの照り返しの部分」

シェアの法則

『シェアの法則』(c)2022 ジャパンコンシェルジュ

――これまでは出すぎない役を求められることが多かったと思いますが、ご自身なりに意識していることはありますか? 小野:たとえば、渡哲也さんは本当にヒーローのような側面を持っている人なので、実際に敵が大勢いても逃げずに自分の正義を貫くタイプ。一方の僕は、渡さんのようには生きられないし、「撃つぞ」って言われたら逃げちゃうほうなんですよ(笑)。でも、2人も同じキャラクターは必要ないし、僕が演じたいのは、渡さんの照り返しの部分。そういう役のほうが好きだし、自分自身に近いので、基本的なところで嘘をつかずに演じられていると思います。 ――そのなかで、脇役ならではの喜びのようなものもあるのではないかなと。 小野:僕はヒーローみたいな役をやろうとも思いませんが、そういう男がたまに何かに立ち向かうシーンがあるとうれしいですし、視聴者の皆さんもそんなに強い人ばかりではないと思うので、そのほうが身近に感じて応援したくなるんじゃないですかね。

大ベテラン俳優を2時間待たせたことも

小野武彦――『シェアの法則』の久万真路監督によると、小野さんは役の予習を欠かさず、誰よりも早く現場に入って準備万端でないと気が済まないタイプだとか。仕事に対しては昔からそういうスタンスですか? 小野:いやいや、そんなことはないですよ。若いときは、自分が迷惑かけていることの大きさもわかっていませんでしたから。でも、いまはその大変さがわかるので、それを考えたら怖くて遅刻なんてできませんね(笑)。過去のゾッとするような反省に基づいて、早く現場に行くようになりました。 ――若い頃に、どんなことがあったのでしょうか。 小野:寝坊して、大ベテランの俳優さんたちを2時間も待たせてしまったことがありました。そのときは怖くて、「このまま行くのやめちゃおうかな」と一瞬考えたくらいでしたね(笑)。怒られましたけど、勇気を振り絞って行ったおかげで、いまがあると思っています。
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成功する人としない人との間にある違い
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映画宣伝マンを経てライターに転向し、海外ニュースや映画紹介、インタビューなどを中心に執筆。Twitter(@masamino_19
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【公開情報】
シェアの法則』は、10月14日(土)より全国公開
(c)2022 ジャパンコンシェルジュ
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