更新日:2024年02月13日 16:36
仕事

「バドミントン選手⇒人材会社経営」元アスリートが引退して気づいた“セカンドキャリアの難しさ”

引退後の「やりがい」が何もない状態に

古屋玲氏

現役時代の古屋氏

 経済的な面のほかに、もう一つ、アスリートの目の前に立ちはだかる障壁となるのが精神的な問題だ。 「多くのアスリートは、それまでの人生でスポーツしかやっていません。でも、若い世代が追い上げて、体が老いてくれば、当然、将来のことをいつしか考えなければならない。そして、20代後半くらいになって初めて『自分はスポーツ以外のことを、何も知らない。引退後、自分はどうやって生きて行ったらいいんだろう』と悶々としてしまうんですね」  実業団に所属する選手の場合は、頑張って会社で出世し、給与を上げるという手段もあるが、現役選手でいるうちはそれもなかなか難しいと古屋氏は感じたという。 「僕の会社の場合、評価制度は、ほかの社員と変わらずに平等に行われていました。ただ、通常の就業時間後は週3~4回は22時くらいまで練習があるので残業できないし、大会があるときは仕事を休むしかない。そうなると、やっぱり大きな仕事は任されにくいですよね。この状況でこの会社で出世なんてできないだろうなと、薄々感じてはいました」

アスリート人材には「極める力」がある

 現在はアスリートのセカンドキャリア支援なども行う古屋氏。現役の選手たちに、次のようなエールを送る。 「本来ならば、引退後、監督やコーチとしてその世界に残ることができれば理想的ですが、その席にも限りがあるので、大半の人は自分の大好きだったスポーツと離れる覚悟は必要です。ただ、第一線で活躍してきたアスリート人材には、ひとつのことを極める力があります。実際、僕の知人にも、現役引退後にトップ営業マンになったという人もいます。環境は違っても、新たに自分の興味関心を引く存在に出会えれば、アスリート人材は活躍できます」  だからこそ、「現役時代のうちから、新たな選択肢を知っておいてほしい」と古屋氏は強調する。 「元アスリートとして、第2の人生に悩んでいるアスリートがいれば助けたいという思いは強くあります。ひとりで悩まずに気軽な気持ちで相談してほしいと思います」
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