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東大合格者が“ムダだと感じた”教育課金。「いつでも受けられる」が逆効果に

なぜ東大生は映像授業塾に入るのか

映像授業最大手の東進予備校は、非常に良質な講義ビデオが集められていることは有名です。授業を受講さえすれば、素晴らしい体験ができます。 一方で、一定数の受験生が映像授業を利用しないまま終わってしまう。それに、映像授業の欠点として「先生にすぐ質問ができない」ことが挙げられます。東大生の中には、これを嫌う人も多い。それなのに、東進ハイスクールが毎年開く東大合格祝賀会には、大量の東大新入生が集まります。 この理由は、東進予備校が成績優秀者に熱烈なラブコールを送って優遇措置を払うところにあります。東進予備校は毎シーズン無料で招待講座を開いたり、無料模試を開催したりして、とにかく多くの受験生の情報を獲得します。 そして、その中の成績優秀者には、特待生待遇を持ち掛け、東進に在籍だけしてもらうのです。こうした籍だけ置く受験生は、講座をほぼ取らず、受講料も払わないで、普段は校舎にも姿を現しません。先ほど「自習室利用を目当てに通った」人がいましたが、この方もおそらくはその口でしょう。 東進側からすれば、成績優秀な受験生を確保し、彼らの持ち帰ってくる合格実績を自分たちのものにできるので嬉しい。生徒たちは、無料で自習室が利用できたり、模試が受けられたりするので、嬉しい。両者ともに得する関係というわけです。 そして実は、東進ハイスクールは学校法人ではありません。株式会社ナガセによって運営される、株式会社です。営利を追い求めるのは当然と言えます。 ただ、この仕組みが合格した東大生のためになったかと問われると、はなはだ疑問に思えます。ほとんど姿を現さない一部のエリートが勝ち取った実績を高々と宣伝し、純粋にその合格実績を見て加入してくるような方々もいるはず。いったい、何を信じればいいのでしょうか。 とはいえ、同じようなことは、どこの予備校もやっていることです。各予備校の東大合格者数を足すと、その年の東大生の数を大きく上回ります。このような「宣伝用の特待生」制度は、程度の問題なのかもしれません。 ですが、どうしても私には、「在籍だけしている特待生」の合格実績をひけらかすことには、抵抗を感じられるのです。このからくりを知らない、特に地方の方々は、どのように受験に太刀打ちしていけばいいのでしょうか。これからは、受験業界もモラルが試されます。
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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