“町の喫茶店”が減少の一途をたどる中、スタバ・コメダ・ドトールの「大手3チェーン」が店舗拡大を続けるワケ
昔ながらの町の喫茶店、大手チェーンが展開するコーヒーショップ、スイーツが人気の喫茶店、お洒落な雰囲気のカフェなど、時代の流れに応じて多様化する喫茶店のスタイル。喫茶店の経営は、定年後のセカンドキャリアや若者の起業の手段として選ばれることも多い。
世界のコーヒー収穫量の約35%を占める世界最大のコーヒー生産国であるブラジルの環境問題、世界的な需要の高まり、円安などでコーヒー豆の価格が高騰中で、今後も続く予想であり、経営環境はあまりよくないのが実情だ。そういった厳しい環境の中、スターバックス、コメダ、ドトールなど大手は成長戦略に工夫が求められている。
今回はコーヒー市場の動向と店舗数1位スタバ(1948店舗)、2位ドトール(1067店舗)、3位コメダ珈琲店(1046店舗)の大手3社の違いを調べてみたいと思う。コメダ珈琲店とドトールはフランチャイズで多店舗展開をしているが、スターバックスは直営店での展開だ。
他人資本を有効に活用し、リスクを抑えながら積極展開しているコメダ珈琲店、ドトールに対し、管理統制を徹底して店舗を束ねるスタバは、店舗開発や運営マネジメントに関する基本的考えが異なるようだ。
コメダ珈琲店は1968年創業で、コメダホールディングスが傘下に持つ4社の連結子会社のひとつであるコメダ株式会社が運営している。2016年6月29日に東証プライム、名証プレミアに上場した店舗数・売上に関して日本最大級のフルサービス型喫茶店チェーンである。
お客様のくつろぎにこだわった店づくり・独自製法と材料にこだわった自社製造商品・独自のFC運営システムなどといった強みにより、外食市場における独自のポジションを確立し、FC加盟店を中心に、全国でフルサービス型喫茶店の運営している。
総店舗数1046店舗(2024年7月現在)を展開しているが、直営店舗は28店舗のみだ。エリアフランチャイジーに運営を委託し、フランチャイザーとして加盟店指導に徹して、食材卸などを収益の柱としている。コーヒーの提供方法を工夫し、モーニングやランチの調理手順の効率化を徹底している。そういった工夫により、厨房スペースを縮小し、営業スペースにその分を広く配分している。これらで、経営効率の向上とくつろぎの演出との両立性が確保されている。
全日本コーヒー協会によると、国内の喫茶店の事業所数(個所)は5万8669店(2021年)で、 1981年をピークに減少の一途にあるようだ。
日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場規模推計によると、喫茶店の市場規模は8055億円(2020年)だ。2012年以降、拡大基調となっていたが、コロナ禍の外食不況に連動して急減した。昨年(2023年5月)、感染症法上の位置づけが5類に移行し、人流が復活し、年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、外食の全体売上は前年比114.1%、コロナ前の2019年比107.7%となった。
喫茶店の市場動向を分析すると、売上120.6%、客数109.3%、客単価110.2%と前年比で大きく伸ばしている。ただし、店舗数は100.2%と横ばいである(日本フードサービス協会、2024年1月発表)。地域のコミュニティとして、また待ち合わせのために利用されてきた町の喫茶店が、スマホの普及や店主の高齢化で閉店する店が増えている。
経営が厳しい中での喫茶チェーン店市場
コメダ珈琲店:経営効率とくつろぎの演出
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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