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弟の誕生が「悲劇の始まり」…父から性的虐待、母から暴力を受け続けた29歳女性。悲惨な“家庭内イジメ”の実態

あのときの自分に伝えたいこと

まなみさん

まなみさんは最後に「あのときの自分に伝えたいこと」を話してくれた

 時折、子どもが老いた両親を殺害するニュースを見ると、「他人事とは思えないんです」と話す まなみさん。両親から離れ、大人になった今、虐げられた自分に声をかけることができるならば何を伝えるのか聞いてみた。 「希望もなにもない話ですが……あのときできることはすべてやったと思います。自分の身を守るために両親の機嫌を伺い、求めている態度だけを取る。どんなに理不尽でも歯向かわない。これらがすべてだったと思います。私は以前、とにかく我慢が体に悪いと思い、『我慢なんかせずに暴れまくったらいい』と思っていました。でも暴れまくったところで、両親も近所の人も助けてくれませんでした。伝えられるとしたら、『とにかく早く親元から離れることを考えて、そのあとは自分の療養に専念してほしい』ということです」  親戚や学校、人並みに近い大人がいたにも関わらず、誰も彼女に救いの手を差し伸べなかった彼女の結論に胸が詰まる。  しかし、関わったすべての大人を責めることもまた難しい。まなみさんの両親ほどのモンスターを扱うには、仮にまなみさんの状況を知ったとしても、援護する側もそれなりの覚悟が必要になることも確かだ。  どうか立ち向かう勇気が必要にならないような世の中であってほしい。 文/なっちゃの
会社員兼ライター、30代ワーママ。世の中で起きる人の痛みを書きたく、毒親などインタビュー記事を執筆。
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