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「なに見てんだよ!」深夜の電車で出会った“女子高生”の正体にア然…「イライラが止まりませんでした」

“べっぴん”しか女性専用車両に乗っちゃいけないの?

女性専用車 竹中みなみさん(仮名・40代)は、新卒で大阪に勤務することになった。 「私を含めた3人が地方から引っ越してきていて、すぐに仲よくなりました」  当時の阪急電車は女性専用車両が導入されたばかり。男性がいない空間は“安心する場所”だったという。 「私たちはいつも通り、社員寮に戻るために3人で女性専用車両に乗っていました。すると、発車間際に50代くらいの酔っぱらったおじさんが乗車してきたんです」  竹中さんが恐る恐る「ここは女性専用車両ですよ」と言うと、男性が「ああ? 5分くらい我慢せえ!」と怒鳴り返してきたそうだ。  時計を見ると夜の8時55分。当時の女性専用車両は夜9時までだったため、男性はそう言ったのだ。男性の剣幕に恐怖心をこらえながら、竹中さんは再び「でも、まだ女性専用の時間ですよ」と丁寧に伝えたのだが……。 「おじさんは、『知るか、こっちは一緒に乗ってやってんだぞ! 黙って座っとけ、ブサイク』と罵ってきたんです。小学生のような悪口に言い返す言葉も思いつきませんでした」  その後、さらに暴言が続いたという。 「無言になってしまった私を尻目に、おじさんは隣にいる私の同僚が目に入ったらしく、『そっちの“べっぴん”さんは、女性専用車両でええ』と私に言いました」  自分勝手に女性専用の時間を無視し、セクハラ発言をする男性に、強い怒りを覚えた。

泣きながら寮まで帰ることに…

「なんやと! お前が出ていけ!」  竹中さんの頭に血が上った瞬間、同僚が“般若の形相”で男性を怒鳴りつけたのだ。 「彼女はいつも穏やかな性格なんです。それが、とんでもないドスの利いた声で……。彼女の変貌ぶりにおじさんは後ずさりして、『なんや……』と言いかけました。すると彼女は『文句あんのか!』と啖呵を切ったんです。その言葉におじさんは酔いがさめたのか、よろよろと隣の車両に移っていきました。  彼女は『ごめん』とうなだれていて、私たちを守ろうとしてくれたのが痛いほど伝わってきました。一緒に泣きながら寮まで帰ったのを覚えています」  後日、竹中さんが彼女に聞いたところ、「最近見た吉本新喜劇を参考にして怒鳴ってみた」とのことだった。 「今では、『あのときのことを思い出すと勇気が出てくるんよ。ありがとう』と笑い合えるようになりました」  電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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