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患者の症状は多様。アトピーの子供や障害者への支援が必要

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患者の症状は多様。アトピーの子供や障害者への支援が必要

 自然の猛威の前に傷ついた人々を救うためにもっとも重要なのが緊急医療。3月18日に宮城県名取市の東北国際クリニックに到着、外来診療を担当し21日に帰京した保健医療NGOシェア=国際保健協力市民の会のボランティア、仁科晴弘医師(江東病院外科)は現地の様子を次のように語った。

「ストレスによる疾患が目立ちました。たとえば、20代の女性が『顔の皮膚が黒ずんでいる』といって来ました。しかし、見るとそれは過緊張状態による顔面蒼白症状でした。それが8日間も続いているという。通常長くても1~2時間程度。余震を含め異常なストレスがかかり続けているようでした。また、ごく軽度のアトピーしかなかった子供の症状が、ストレスのためものすごく悪化してしまったケースも見ました」

シェアは1983年に医師、看護師が中心となって発足。主にアジア地域など海外を中心に地元の医療機関、住民の主体性を重視しつつ、中長期にわたる医療支援を特徴としている。その一方で迅速な緊急支援活動も行い、阪神淡路大震災や新潟県中越地震などでも実績がある。

 仁科医師によれば「避難所にもよりますが、アレルギー性疾患や高血圧、糖尿病など慢性疾患の常備薬の不足が目立つ」という。シェア広報担当の飯沢幸世さんは「医療ニーズも含め、現場の状況は刻々と変わっています。必要とされている支援を確実に届けるために、寄付、物資、ボランティア等で支援をする際には最新情報に注意して支援団体等に問い合わせをしてほしい」と注意を促す。

 また、シェアでは新たに三陸地方の被災地で孤立している高齢者や障害者、母子など社会的弱者を中心に、中長期の保健医療支援活動を行うという。被災地に入った医療チームの打ち合わせでは、「もう重病人はあまりおらず医療の問題ではなく介護の問題だ」「私たちは縮小する時期ではないか」などの声も出ている。しかし、被災地の医師や看護師からは、「震災後の避難生活で体を壊す人が増え年寄りが全体に弱ってきている」「多少動けていた人が被災を機に動けなくなった」「停電でエアマットが使えずに床擦れができ始めた人も多い」「私たちも不眠不休で仕事をしようにももう限界だ」「はやく被災した家の片づけをしたい」といった悲痛な声も聞こえてくる。

 シェア副代表・沢田貴志医師は「この地域は多くの自治体で高齢化率は30%、3人に1人は高齢者です。少なからぬ医療従事者が被災した中でケアのニーズが増大する中、高齢者をどう地域が支えていけるのか。緊急医療支援のフェーズが過ぎ去りつつある今、被災地は深刻な難問を抱えています」と窮状を訴える。

 シェアは、緊急時には名取市での緊急医療のサポートを行ってきたが、今後は地域の保健やケアにかかわっていた人々が地域にとどまり高齢者と向き合い続けられるように支援をする計画をすすめている。

「食物でのアレルギーでは卵、牛乳、小麦がアレルゲンとなっている人が多いので、被災地で配られる食事がパンだったりすると一切食べられず我慢しなければなりません」

こう訴えるのはアトピー・アレルギー性疾患患者の電話相談などをするNPO・アトピッ子地球の子ネットワークの赤城智美事務局長だ。「なるべく被災地では野菜の煮物など、比較的アレルゲンとなりにくい食事を出すのが好ましい」のだという。

 アトピッ子地球の子ネットワークはアレルギーのある赤ちゃん用粉ミルクなど食物アレルギー用食物を宮城県多賀城市に、ぜんそくケア用品を福島県いわき市や宮城県仙台市などに政府手配のトラックで届け、3月20日には到着したという。

「わたしたちはアレルギーに関する困りごとの相談を受け付けています。食物アレルギー、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などで、困りごとがある方は、電話やメールでご相談ください。食物アレルギー用の食物、アトピー性皮膚炎のスキンケア用品のことなど、いろいろお手伝いできると思います。まずはお問い合わせください。また相談受付していることをWebサイト、Twitter、ブログ等でぜひ広めてください」と赤城さんは呼びかける。

 アレルギー患者と同様、障害を持つ人も一般の人とは違ったケアが求められる。障害者自らが運営する全国自立生活センター協議会の中西正司代表は障害者の持つ「特殊なニーズ」について説明してくれた。

「同じ障害者同士だから、厳しい状況が容易に想像できます。障害者は一般の避難所での生活はむずかしい。支援を日常的に必要としている障害者にとっては必ずしも安全な場所でなく、かえって危険極まりない場所になるのです」

 車椅子用のトイレ、ベッド、重度の人だと呼吸装置や電源、慣れた介助者が24時間いないところでは生きるのも困難な場合がある。

 3月19日、中西さんを代表に全国の障害者関連団体が立ち上げた東北・関東障害者救援本部がいわき市のいわき自立生活センターから障害者8人と職員ら計33人を東京・新宿の全国身体障害者総合福祉センターを避難先として受け入れた。だが、障害者は滞在中の食費は全額自己負担。介助者派遣も各センターの持ち出しか完全ボランティアに頼らざるを得ないという。

「とにかく障害者の避難生活には資金が必要です。全国、全世界のご協力が必要なのです」と中西さんは切に訴える。

 NPO・NGOの活動は寄付に支えられている。日々、救援活動を営む団体にする寄付は即座に被災地の人々を救う活動に直結していくのだ。

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荷物中継地点で作業するアトピッ子地球の子ネットワークのスタッフたち


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多くの医療支援団体が、医薬品不足に悩んでいる




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