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元団員が語る「プロ野球私設応援団」の知られざる世界

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旗を振り、ラッパを鳴らし、球場に集まったファンの一体感を生み出す応援団。日本ならではのスタイルだ。 ※写真と本文に登場する応援団は一切関係ありません

 5月26日のロッテ戦(横浜)に1-4で敗れたDeNA。30日付けの東京スポーツによると、中畑清監督はロッテの応援団に圧倒されたと語っていたそうだが、確かにこのロッテ応援団の統制が取れた応援は凄まじかった。  プロ野球なら応援団(私設応援団)、サッカーならサポーターと呼ばれるコアな人々がいる。ホームだろうがアウェイだろうが、試合があれば駆けつけて最前列に陣取って、旗を振り、太鼓を叩き、時にはラッパを吹いて、声を涸らして応援する。  だが、野球、サッカーを観るために球場やスタジアムへ行ったことがある人は皆思うはずだ、彼らはいったい何者なのかと……。そこで今回は、ほとんどメディアで取り上げられることのない応援団という人々に焦点を当ててみたい。  登場していただいたのは、現在38歳の会社員の男性、通称・小岩さんだ。彼は今から18年前、パ・リーグの某球団の応援団員として3年ほど活動をしていたという。では、そもそも応援団とはどのような存在なのだろうか。「あくまでも自分がいた2000年前後までの話」と前置きした上で、小岩さんは応援団とはなんなのかを語り始めた。 「う~ん、一言で言えば“応援好き”が集まってるって感じかな。そのチームを好きなのは間違いないんだろうけど、長いハッピ着て、ラッパ吹いたり旗振ったり、皆の前でコールをしたりする野球の応援スタイルが好きな人が多い印象かな。だって、俺はそのチームのこと大して好きじゃなかったけど入ってたしね。大勢の見ず知らずのファンを指揮して応援させるというかまとめあげる一体感は応援団の醍醐味だしね。だから、野球の応援団ヤメてサッカーのサポーター団体に入ったヤツもいるし、サッカーのサポーターから“転職”してきたヤツもいた。だから、やっぱり“応援”が好きなんだよね」  チームに対する愛情が高じて応援団……というわけではないという。一般のファンからは「毎日いるし、地方にもいる。普段、何をやってるんだろう」という声があるのだが、応援団員はどんな人がいるのだろうか。 「下は中学生、おばちゃんもいたし、普通の会社員もいた。あと、大学生とかね。ウチの会はよそと違って、けっこうまともなヤツが多かったよ。あと、やっぱ時間に融通が利く仕事の人が多かったね。トラックの運転手、大工、塗装工、学校行ってねぇヤンキー崩れとか。援団って遠征も多いから、意外とちゃんと仕事してないと活動できないんだ。だから、みんなそれなりに仕事はちゃんとやってた」  応援団が存在するのはなにもホームのある地域だけではない。地方には支部や地方で活動する応援団も存在している。だから全国どこの球場で試合があっても応援団は駆けつけることができるのだという。 「アウェイに行ってもいつもいるって思われてるけど、地方に支部とかあるから、“いる”って勘違いされることが多いのかも。140試合全部行ってるヤツなんて、まずいないよ。それに援団によっては地方は行けたら行くくらいのとこもあるし、支部があるならそっちに任せるとかね。ウチの会は基本的にはどの球場でも、必ず1人か2人は行かせてたかな。大阪の3連戦の1,2戦は俺とあいつ、3戦目はあいつだけで俺は帰るとかね。あと、遠征も車持ってるヤツが出してくれりゃいいけど、そうじゃない時は青春18切符とかで大阪まで行くなんて普通だった。あと、新幹線の無賃乗車やってるヤツもいたね(苦笑)。こういう遠征行くのも応援団の楽しみの一つだった」 ◆どうやって応援団員になるのか?  果たして、どうやって応援団員になったのかも、多くの人が疑問に思うところ。 「入れて下さい!って来るヤツもいれば、友達の紹介とかもある。昔は応援歌の歌詞カードの裏に団員募集みたいな告知をしてたとこあった。最近はよく知らないけど、ホームページとか作ったりTwitterとかで募集してんじゃないかな。俺みたいにスカウトされたってのが多かったかな。だいたいさ、スポーツの試合なんて半分くらいは常連客だよ。俺、サッカーも野球も好きだけど、行くと同じ場所に同じヤツが毎回座ってるもん。常連とか言ってさ。おまけに当時のパ・リーグだと、3連戦全部来てたら顔覚えられるレベルの客入りでしょ。もう、そんな“熱狂的”ならスカウトするっきゃないってね(笑)」  では、当の小岩さんの入団経緯は……というと、これがまたなんともおかしい。 「俺、当時は大学ヤメてプー太郎で暇だったから試合観に行ってビール飲んで友達と騒いでたの。当時のパ・リーグの試合って平日だとホント、ガラガラだったから、好き放題やってたのね。そしたら、応援団のヤツが来たんだ。応援無視して野次を飛ばしてたから、こりゃ怒られるなぁって思ったら『すいません。もしよければ僕らとハッピ着て一緒に騒ぎませんか?』ってスカウトされたんだわ。で、こっちも暇だし、ただで野球観て、騒げるから、こりゃいい暇つぶしだって二つ返事でOKしちゃった」  その後、入団してからは精力的に“暇を潰しに”球場へと足を運んだという。 ⇒【後編】「応援団のディープすぎる日常」に続く
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<取材・文/日刊SPA!野球取材班>
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